ノロウイルスに感染したら出勤停止になる?いつから出勤できるのかを解説

自分や同居する家族がノロウイルスに感染した場合、「出勤停止になるのか」「いつから出勤できるのか」などと考えることでしょう。

 

ノロウイルスに感染した場合、症状は通常1日〜3日程度で回復します。そのため、症状が回復してからすぐに出勤することを考えるかもしれませんが、基本的には症状が回復してからも一定期間の自宅療養が求められます。

 

法律では出勤停止の期間は明確に定められていませんが、多くの企業では会社規則でノロウイルスに感染した場合の出勤停止について定められています。

 

そのため、ノロウイルスに感染した場合の出勤停止やいつから出勤できるのかについては、まず会社規則を確認するのがよいでしょう。そのうえで、ノロウイルスを「ひろげない」ためにも、専門の検査機関で検査を行い、陰性と確認できるまでは出勤を停止するようにしてください。

 

調理事業者や食品工場勤務者、医療従事者など、二次感染のリスクが高い職業の場合、ノロウイルスの出勤停止について会社規則によって厳しく定められていると考えられます。

 

場合によっては、ノロウイルス検査をしたうえでノロウイルスを保有していないことが確認されてからでなければ出勤停止が解除されないケースもあります。

 

当記事では、ノロウイルスに感染した場合の出勤停止やいつから出勤できるのかについて、法律と会社規則を根拠として解説していきます。また、ノロウイルスに感染した場合には二次感染に注意する必要があるため、二次感染を防ぐための対策についても解説します。

 

なお、当社「株式会社 食環境衛生研究所」では、ノロウイルス検査を行っています。安心して出勤するためにも、ノロウイルスに感染してからはじめて出勤する前には、ノロウイルス検査を受けておくことも検討してみてください。

 

ノロウイルスに感染した場合の出勤停止は法律で求められているだけで明確には定められていない

「ノロウイルスに感染した場合、法律などで出勤停止になるのか」と考えている人もいるかもしれません。確かに、特定の感染症にかかった場合は法律によって出勤停止の措置をとるように定められていますが、ノロウイルスによる感染症はこれらに該当しません。

 

そのため、ノロウイルスに感染した場合の出勤停止は、法律で明確に定められていないのです。

 

出勤停止を定めている法律には、「感染症予防法(第18条)」「労働安全衛生規則(61条)」があります。労働安全衛生規則の61条では、明確に感染症が定められていませんが、感染症予防法の第18条では下記の感染症の患者は業務の従事に制限をするように定められています。

 

分類感染症
一類感染症・エボラ出血熱
・クリミア・コンゴ出血熱
・痘そう
・南米出血熱
・ペスト
・マールブルグ病
・ラッサ熱
二類感染症・急性灰白髄炎
・結核
・ジフテリア
・重症急性呼吸器症候群
・中東呼吸器症候群
・鳥インフルエンザ
三類感染症・コレラ
・細菌性赤痢
・腸管出血性大腸菌感染症
・腸チフス
・パラチフス

参考:e-Gov「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」

 

このようにノロウイルスは対象になっていないため、法律上では出勤停止が命じられることはありません。

 

とはいえ、法律で明確に定められていないからといって、ノロウイルスに感染した人を出勤させていいわけでもありません。会社が遵守しなければならない「労働契約法」という法律では、下記のように定められているためです。

 

(労働者の安全への配慮)
第五条使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
引用元 e-Gov「労働契約法(第5条)」

 

労働契約法第5条で定められているように、会社は従業員に対して安全配慮をしなければなりません。ノロウイルスに感染した従業員を出勤させてしまうと、その従業員だけでなく他の従業員に対しても安全配慮がされていないといえます。

 

そのため、法律で明確に出勤停止が定められていないといっても、感染した人や他の従業員の安全を考慮して、ノロウイルスに感染した場合には出勤停止が求められるのです。

 

調理従事者の場合は検便検査でウイルスを保持していないことが判明するまで出勤停止になる

前述したように、法律ではノロウイルスに感染した場合の出勤停止が明確に定められていません。しかし、給食施設、社員食堂施設などで働く調理従事者の場合、ノロウイルスに感染した際には大量調理施設衛生管理マニュアルによって出勤停止になると考えられます。

 

下痢又は嘔吐等の症状がある調理従事者等については、直ちに医療機関を受診し、感染性疾患の有無を確認すること。ノロウイルスを原因とする感染性疾患による症状と診断された調理従事者等は、検便検査においてノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、食品に直接触れる調理作業を控えるなど適切な処置をとることが望ましいこと。
引用元 厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」

 

大量調理施設衛生管理マニュアルは法律ではないため、法的な強制力はありません。とはいえ、厚生労働省が定めていることから、大量調理施設では大量調理施設衛生管理マニュアルをもとにして出勤停止の判断をします。

 

そのため、調理従事者がノロウイルスに感染した場合、原則的には調理などの従事が制限されて、出勤停止になると考えられるのです。

 

ノロウイルスに感染した場合の出勤停止については会社規則を確認する

前述したように、ノロウイルスに感染した場合、法律では明確に出勤停止について定められていません。

 

しかし、従業員に対する安全配慮や、万が一ノロウイルスの感染症が社内でまん延してしまった際のリスクなどを考慮して、会社によっては出勤停止に関する規則が定められています。

 

そのため、ノロウイルスに感染した場合の出勤停止については、勤務している会社の規則を確認するのがよいでしょう。会社によっては、下記のような規則が定められています。

 

  • ノロウイルスの症状が治ってから1週間が経過するまでは出勤停止
  • ノロウイルスに感染した人と接触した場合、接触した日から3日以上が経過するまでは出勤停止

 

なお、会社には従業員に対して会社規則を周知する義務があるため、原則的には自由に閲覧できるような状態になっています。もし確認方法がわからない場合には、上司や同僚に相談してみるのがよいでしょう。

 

家族がノロウイルスに感染した場合も出勤停止になるのが一般的

ノロウイルスは感染力が非常に強いウイルスです。二枚貝などの汚染された食品を介した接触感染だけでなく、感染者からの空気感染や飛沫感染によってもノロウイルスに感染してしまいます。

 

同居している家族がノロウイルスに感染した場合、自身にその症状がみられなかったとしても二次感染している可能性があるため、会社規則によって出勤停止になるのが一般的です。

 

出勤停止の期間については会社によって異なりますが、基本的には「従業者本人に感染した症状がみられず、ノロウイルスに感染した家族の症状が治ってから3日以上経過するまで出勤停止」のように規則で定められています。

 

家族がノロウイルスに感染してしまい、出勤停止になるのかどうかがわからない場合、勤務している会社の規則を確認してみるのがよいでしょう。

 

ノロウイルスが治ってから出勤する場合は二次感染に注意!ノロウイルスの感染経路は?

ノロウイルスに感染した場合、通常は1日〜3日程度で症状が回復します。そのため、「症状が治ったら出勤してもいいのか」と考える人もいるかもしれません。

 

しかし、ノロウイルスは症状が発症してから1週間程度体内に保有されるため、症状が回復したからといって出勤してしまうと社内での二次感染を引き起こし、集団感染が起きてしまう可能性があります。

 

そのため、ノロウイルスによる感染症の症状が回復してから出勤をする場合には、二次感染を引き起こさないための配慮が大切です。

 

当然ですが、吐き気や発熱といった症状がみられる場合には他の人に感染させないためにも出勤しないのが重要です。そして、症状が回復しても体内にノロウイルスが保有されている可能性もあります。

 

そのため、二次感染を防ぐためにも、ノロウイルスの感染経路を把握しておくのも大切です。

 

ノロウイルスの感染経路として、具体的には下記のケースが挙げられます。

 

  • 感染した人のふん便やおう吐物に触れた
  • ノロウイルスに感染した人が触れたトイレのドアノブなどを触った
  • ノロウイルスに感染した人からの飛沫感染
  • ノロウイルスに感染した食品製造者・調理従事者を介して汚染された食品を食べた
  • ノロウイルスに汚染された二枚貝や井戸水などを消毒せずに摂取した

 

ノロウイルスによる感染症の症状が回復してから出勤をする場合、必ずマスクを着用したうえで、手洗いを十分にしてからドアノブなどを触るようにしましょう。

 

ノロウイルスの二次感染を防ぐための4つのポイント

ノロウイルスによる食中毒を防ぐ4つのポイントがあります。

 

ポイント概要
①ノロウイルスを「持ち込まない」調理する人がノロウイルスに感染していると、その人が調理した食品を食べることによって多くの人にノロウイルスが二次感染してしまいます。
ノロウイルスによる食中毒を防ぐためには、調理場にウイルスを持ち込まないことが重要です。
②ノロウイルスを「つけない」食品や食器、調理器具などにノロウイルスを付けないように、調理などの作業をする前などの「手洗い」をしっかりと行うようにしましょう。
③ノロウイルスを「やっつける」食品に付着したノロウイルスを死滅させるためには、中心温度85℃から90℃、90秒以上の加熱が必要です。
④ノロウイルスを「ひろげない」ノロウイルスが身近で発生したときには、ノロウイルスの感染を広げないために食器や環境などの消毒を徹底すること、おう吐物などの処理の際に二次感染しないように対策をすることが重要です。
【食器や環境などの消毒のポイント】
・食器などは、熱湯(85℃以上)で1分以上加熱するか、塩素消毒液に浸して消毒を行いましょう。

 

【嘔吐物などの処理のポイント】

 

・ペーパータオルなどでおう吐物等を乾燥する前に除去し、おう吐物が付着していた場所を浸すように塩素消毒液でふき取りましょう。

 

・ふき取ったおう吐物や手袋などはビニール袋に密閉して廃棄しましょう(できればビニール袋の中で1000ppmの塩素消毒液に浸すこと)。

 

参考
>>ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?:広報オンライン
>>冬に食中毒?ノロウイルスの予防と対処法

 

食環境衛生研究所のノロウイルス検査様子

 

ノロウイルスに感染してから仕事復帰する際にはウイルス検査を受けておくべき

前述のとおり、ノロウイルスによる感染症の症状が回復した場合で出勤をすると、会社で二次感染を引き起こしてしまう可能性はあります。そのため、ノロウイルスに感染してから仕事復帰する際には、検査を受けておくことも考えておきましょう。

 

ノロウイルス検査を受けることで、体内にノロウイルスが保有されていないかを検査してもらえます。結果が陰性であればノロウイルスを保有していないと確認できるため、二次感染のリスクもなく安心して会社復帰することが可能です。

 

なお、当社「株式会社 食環境衛生研究所」では、ノロウイルス検査も行っています。

 

臨床検査技師が9名在中しており、精度の高い検査結果をお安く、素早くご報告できる体制を整えていますので、「安心して会社復帰したい」「急いでノロウイルス検査を受けたい」といった場合にはお気軽にご相談ください。

 

当社のノロウイルス検査の詳細については、こちらのページをご確認ください。

 

まとめ

ノロウイルスに感染した場合、法律では出勤停止が明確に定められていませんが、原則的には出勤停止が求められることになります。

 

いつから出勤できるのかなどは、会社規則によって定められているため、ノロウイルスに感染した際には、出勤停止について会社規則を確認しておきましょう。

 

なお、ノロウイルス感染症による症状が回復したとしても、直後は体内にウイルスが保有されています。

 

その状態で出勤をしてしまうと、会社で二次感染を引き起こしてしまうリスクがあるため、出勤をする場合には「症状が回復してからも自宅療養をする」「ノロウイルス検査を受けておく」といった対策が大切です。

 

当社ではノロウイルス検査を行っているため、体内にノロウイルスが保有されていないかを確認する際にはお気軽にご相談ください。

youtube