飽和脂肪酸が多い食べ物ランキング
本記事では、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表編」に収載されている可食部100g当たりの飽和脂肪酸量を基準に、飽和脂肪酸が多い食べ物ランキングを作成しました。
ここからは、飽和脂肪酸が多い食べ物ランキングについて、肉類・油脂類・乳類などの食品群別に紹介していきます。
【ランキングの集計方法】
- 可食部100g当たりの飽和脂肪酸量が多い順に掲載しています
- 同一・類似食品の品種違いや調理状態違いが複数ある場合は、代表的な食品に整理しています
- 肉類は「脂身」だけの収載項目を除き、部位や加工品として一般的に食べられる食品を対象としています
- 各表の順位は、それぞれの食品群内で選定した代表食品の順位です
□POINT
100g当たりの飽和脂肪酸量が多い食品でも、普段の食事で必ず多く摂取するとは限りません。油やバターは一度に使う量が少ない一方、肉や乳製品は1回に食べる量が多くなりやすいためです。
ランキングでは食品そのものの含有量を確認し、実際の摂取量は1回に食べる量や食べる頻度も含めて考えましょう。
肉類の飽和脂肪酸ランキング
肉類のなかで飽和脂肪酸が多いのは、牛リブロースや牛サーロイン、豚ばら肉などの脂身が多い部位です。鶏皮やドライソーセージ、ウインナーソーセージなども上位に入っています。
肉類の飽和脂肪酸量は、脂身の多い部位か、皮が付いているかによって大きく変わります。
たとえば、鶏肉そのものは比較的脂質の少ない部位もありますが、鶏皮は100g当たり16.30gの飽和脂肪酸を含み、今回選定した代表食品では4位です。同じ鶏肉でも、皮を付けたまま食べるか、取り除いて食べるかで摂取量に差が生じます。
牛肉や豚肉も同様で、リブロース、サーロイン、ばら肉などは脂身を多く含むため上位に入っています。一方、脂身の少ないヒレ肉や、皮を除いた鶏むね肉・鶏もも肉は上位10食品には入っていません。
肉類から摂取する飽和脂肪酸を減らしたい場合は、肉類をすべて避けるのではなく、ばら肉や脂身の多いロース、鶏皮、脂肪分の多いソーセージ類を食べる量や頻度に注意するとよいでしょう。
油脂類の飽和脂肪酸ランキング
油脂類のなかで飽和脂肪酸が特に多いのは、やし油(ココナッツオイル)とパーム核油です。
やし油には100g当たり83.96g、パーム核油には76.34g含まれており、バター、牛脂、ラードよりも多い結果となっています。
油脂類では、ココナッツオイルやパーム核油、パーム油の含有量が多く、オリーブオイルやなたね油とは大きな差があります。
たとえば、やし油の83.96gに対し、オリーブ油は13.29g、なたね油は7.06gです。同じ植物由来の油でも、種類によって飽和脂肪酸量は大きく異なります。
動物性油脂では、牛脂が41.05g、ラードが39.29gと多くなっています。また、バターやショートニングも100g当たりの約半分を飽和脂肪酸が占めています。
なお、実際の摂取量は調理や加工食品に使われる量によって変わるため、100g当たりの順位だけでなく使用量も確認する必要があります。
乳類の飽和脂肪酸ランキング
乳製品では、牛乳やヨーグルトよりも、脂肪分を多く含むクリーム類やチーズ類に飽和脂肪酸が多く含まれています。
特に注意したいのは、「植物性脂肪」と表示されたコーヒーホワイトナーやクリームです。植物性脂肪を使った粉末状のコーヒーホワイトナーは100g当たり31.00g、植物性脂肪のクリームは26.61gで、乳脂肪のクリームやホイップクリームと同程度か、それ以上の飽和脂肪酸を含みます。
チーズでは、チェダーチーズ、クリームチーズ、エメンタールチーズ、パルメザンチーズなどが上位です。チーズは牛乳から水分を除いて乳成分を濃縮しているため、牛乳よりも100g当たりの含有量が多くなります。
乳類からの摂取量が気になる場合は、乳製品全般を避けるのではなく、クリームやホイップクリームを多く使った食品、脂肪分の多いチーズ、植物性脂肪を使ったクリーム類を中心に、食べる量を確認するとよいでしょう
菓子類の飽和脂肪酸ランキング
飽和脂肪酸が多い菓子は、チョコレート類と、バター・クリーム・チーズなどの脂肪分を多く使った洋菓子です。
チョコレート類には、飽和脂肪酸を含むココアバターが使われています。ホワイトチョコレートやミルクチョコレートには乳原料も含まれるため、100g当たりの飽和脂肪酸量が多くなります。
また、デニッシュペストリーやリーフパイ、バターケーキには、バターやマーガリン、ショートニングなどが多く使われます。レアチーズケーキやベイクドチーズケーキでは、クリームチーズや生クリームなども含有量を増やす要因になります。
一方、砂糖を多く含む菓子であっても、油脂をほとんど使わないようかんやゼリーなどは、飽和脂肪酸が多い食品とは限りません。飽和脂肪酸の多さは、菓子の甘さではなく、チョコレートや油脂、乳原料がどの程度使われているかによって変わります。
菓子類のなかで特に注意する食品を挙げるなら、チョコレート、パイやデニッシュ、バターケーキ、チーズケーキなどです。
果実類の飽和脂肪酸ランキング
果実類のなかでは、ココナッツミルクの飽和脂肪酸量が100g当たり13.20gと最も多く、2位のアボカド3.03gを大きく上回っています。次いで、グリーンオリーブやブラックオリーブ、ドリアンが上位に入りました。
果実類で飽和脂肪酸が比較的多いのは、ココナッツミルク、アボカド、オリーブなど、脂質を多く含む一部の食品です。
一方、6位以下はいずれも100g当たり0.17g以下です。りんご、みかん、いちご、ぶどうなど、一般的に食べられている果物の多くも飽和脂肪酸の含有量は少なく、果実類全体が主要な摂取源になるわけではありません。
そのため、果実類から摂取する飽和脂肪酸が気になる場合は、一般的な果物よりも、料理やデザートに使われるココナッツミルクの使用量に注目するとよいでしょう。
なお、市販のココナッツミルクは商品によって濃度や原材料の配合が異なるため、実際の含有量は栄養成分表示などもあわせて確認する必要があります。
種実類の飽和脂肪酸ランキング
種実類で飽和脂肪酸が多い食品は、ココナッツパウダーと、ブラジルナッツやマカダミアナッツなどの脂質を多く含むナッツ類です。
ココナッツパウダーは2位のブラジルナッツよりも3倍以上多く、ほかの種実類とは含有量に大きな差があります。ココナッツパウダーを菓子や料理に多く使う場合は、少量でも飽和脂肪酸の摂取量が増えやすくなります。
ナッツ類のなかでは、ブラジルナッツとマカダミアナッツが多く、ピーナッツバターや落花生、カシューナッツも上位に入っています。ナッツや種子を日常的に食べる場合は、種類だけでなく、一度に食べる量にも注意が必要です。
特にピーナッツバターは、パンなどに塗って継続的に摂取しやすいうえ、商品によっては油脂が追加されています。種実類からの摂取量が気になる場合は、ココナッツパウダー、ブラジルナッツ、マカダミアナッツ、ピーナッツバターの使用量や摂取量を確認するとよいでしょう。
飽和脂肪酸は1日どれくらいまで?摂りすぎによる影響
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の男女における飽和脂肪酸の目標量を、1日の総摂取エネルギーの7%以下としています。
飽和脂肪酸は1g当たり9kcalであるため、1日に2,000kcalを摂取する人なら、約15.6g以下が目安です。
飽和脂肪酸を摂りすぎると、血液中のLDLコレステロールが増え、動脈硬化を進める要因になります。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高まるため、日頃から摂りすぎに注意することが大切です。
たとえば、1日の目安が約15.6gの場合、バター5g、普通牛乳200g、チェダーチーズ20g、ミルクチョコレート20gを摂るだけで、飽和脂肪酸は合計約15.4gになります。
このほかに肉料理やクリームを使った料理を食べると目安を超える可能性があるため、特定の食品だけでなく、1日全体の食事で調整しましょう。
飽和脂肪酸を摂りすぎないための食べ方
飽和脂肪酸を減らすために、肉類や乳製品をすべて避ける必要はありません。脂身の少ない部位や低脂肪の商品を選び、飽和脂肪酸の多い食品を魚や大豆製品、植物油などに置き換えることで、食事全体の摂取量を抑えやすくなります。
飽和脂肪酸を摂りすぎないための具体的な食べ方には下記が挙げられます。
- 肉は脂身の少ない部位や皮なしを選ぶ
- 牛乳やヨーグルトは低脂肪・無脂肪の商品を選ぶ
- バターやラードを不飽和脂肪酸の多い油に置き換える
- 洋菓子やチョコレートは食べる量と頻度を調整する
- 魚や大豆製品を取り入れて食事全体のバランスを整える
肉は脂身の少ない部位や皮なしを選ぶ
肉類では、ばら肉や脂身の多いロース、鶏皮などに飽和脂肪酸が多く含まれています。そのため、豚ばら肉をヒレ肉やもも肉に替える、鶏肉は皮を取り除くなど、同じ肉類でも脂身の少ない部位を選ぶことがポイントです。
また、ベーコンやソーセージなどの加工肉は、脂肪分が多い商品もあります。肉料理が続く場合は、部位だけでなく、加工肉を食べる量や頻度も調整するとよいでしょう。
牛乳やヨーグルトは低脂肪・無脂肪の商品を選ぶ
牛乳やヨーグルトを日常的に摂る場合は、普通タイプを低脂肪・無脂肪の商品に替えることで、飽和脂肪酸の摂取量を抑えられます。
特に、生クリーム、ホイップクリーム、脂肪分の多いチーズは、牛乳やヨーグルトよりも100g当たりの飽和脂肪酸量が多い食品です。乳製品を一律に避けるのではなく、普段は低脂肪の商品を選び、クリームやチーズは使用量を調整すると続けやすいでしょう。
バターやラードを不飽和脂肪酸の多い油に置き換える
バターやラード、牛脂には飽和脂肪酸が多く含まれています。炒め物や焼き物に使用している場合は、なたね油やオリーブ油など、不飽和脂肪酸を多く含む油に置き換える方法があります。
ただし、植物油であっても、ココナッツオイルやパーム油には飽和脂肪酸が多く含まれます。植物性か動物性かだけで判断せず、油の種類を確認することが大切です。また、油は種類にかかわらず高エネルギーであるため、置き換えた後も使いすぎには注意しましょう。
洋菓子やチョコレートは食べる量と頻度を調整する
チョコレート、パイ、デニッシュ、バターケーキ、チーズケーキなどは、飽和脂肪酸を含む油脂や乳原料が多く使われています。1回に食べる量が少なくても、毎日のように食べると摂取量が積み重なります。
洋菓子やチョコレートは、完全に避けるのではなく、1回の量と食べる頻度を決めることが大切です。大袋から直接食べずに小皿へ取り分ける、毎日ではなく日を空けて食べるなど、無理なく続けられる方法で調整しましょう。
魚や大豆製品を取り入れて食事全体のバランスを整える
飽和脂肪酸の多い食品を減らすだけでなく、肉料理の一部を魚や大豆製品に置き換えることも有効です。
たとえば、豚ばら肉やソーセージを使う料理が続く場合は、焼き魚、豆腐、納豆などを主菜に取り入れると、肉の脂身から摂取する飽和脂肪酸を減らせます。
大切なのは、いつもの食事に魚や大豆製品を追加するのではなく、脂身の多い肉料理と置き換えることです。厚生労働省や日本動脈硬化学会では、魚や大豆、野菜などを取り入れ、肉の脂身やバターなどを控える食事が推奨されています。
飽和脂肪酸が多い食べ物に関するよくある質問
飽和脂肪酸が最も多い食べ物は何ですか?
今回のランキングで、可食部100g当たりの飽和脂肪酸量が最も多いのは、やし油(ココナッツオイル)の83.96gです。
ただし、油を一度に100g摂取することは通常ありません。日常の食事で一度に100g程度食べる可能性がある食品では、牛リブロースや豚ばら肉など、脂身の多い肉類に飽和脂肪酸が多く含まれています。
たとえば、牛リブロースは100g当たり21.12g、豚ばら肉は17.59gです。実際の摂取量を考える際は、100g当たりの順位だけでなく、一度に食べる量や頻度もあわせて確認しましょう。
飽和脂肪酸は完全に避けた方がよいですか?
飽和脂肪酸を完全に避ける必要はありません。飽和脂肪酸を含む脂質は身体のエネルギー源にもなるため、重要なのは摂取量を適切な範囲に抑えることです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の男女について、飽和脂肪酸の目標量を1日の総摂取エネルギーの7%以下としています。肉類や乳製品をすべて避けるのではなく、脂身の少ない部位や低脂肪の商品を選び、食事全体で摂りすぎないようにしましょう。
植物性の油なら飽和脂肪酸は少ないですか?
植物性の油でも、飽和脂肪酸が多いものがあります。
代表的なのが、やし油(ココナッツオイル)やパーム核油、パーム油です。特にやし油には、可食部100g当たり83.96gの飽和脂肪酸が含まれています。
一方、オリーブ油やなたね油など、飽和脂肪酸が比較的少ない植物油もあります。植物性か動物性かだけで判断せず、油の種類を確認することが大切です。
飽和脂肪酸とコレステロールは同じものですか?
飽和脂肪酸とコレステロールは、同じものではありません。
飽和脂肪酸は脂質を構成する脂肪酸の一種で、コレステロールは細胞膜やホルモンなどの材料になる脂質の一種です。
ただし、飽和脂肪酸を多く摂ると、肝臓でのコレステロール合成が促され、血液中のLDLコレステロールが増える要因になります。そのため、両者は別の物質ですが、身体のなかでは関係しています。
まとめ
飽和脂肪酸は、ココナッツオイルやパーム油、バター、脂身の多い肉、クリームやチーズ、チョコレートや洋菓子などに多く含まれています。
文部科学省の食品成分データでは、可食部100g当たりの飽和脂肪酸量が最も多いのは、やし油(ココナッツオイル)の83.96gです。ただし、油を一度に100g摂取することは通常ありません。日常的に100g程度食べる食品では、牛リブロースや豚ばら肉などの脂身が多い肉類にも多く含まれています。
厚生労働省では、18歳以上の飽和脂肪酸の目標量を、1日の総摂取エネルギーの7%以下としています。摂りすぎるとLDLコレステロールが増え、動脈硬化を進める要因になるため、日頃から食べる量や頻度を調整することが大切です。
飽和脂肪酸を減らすために、肉類や乳製品をすべて避ける必要はありません。脂身の少ない肉や皮なしの鶏肉、低脂肪の乳製品を選ぶほか、バターやラードをオリーブ油やなたね油に替える、肉料理の一部を魚や大豆製品に替えるなど、無理のない範囲で食品を置き換えるとよいでしょう。