食中毒とは?~さまざまな原因とその分類について~

はじめに…

夏場や冬場になると、「食中毒」に関するニュースを耳にする機会があるかと思います。
食中毒のイメージは何となくわかるけれども、具体的な内容は意外と知らない方も多いのではないでしょうか。
食中毒は原因物質によって分類されています。
今回は食中毒の種類についてお伝えしたいと思います。
 

食中毒とは?

食中毒とは、食中毒を引き起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの健康被害が出ることを指します。
食中毒は原因物質によって、細菌性・ウイルス性・自然毒・化学性に分けられています。
 

細菌性食中毒

細菌が原因となる食中毒を細菌性食中毒といいます。
これが原因による食中毒患者数は、食中毒全体の半数以上を占めるといわれています。
 
細菌性食中毒には、「感染型」と「毒素型」があります。
 
「感染型」は感染後、生体内で細菌が増殖することにより発症します。
「感染型」の食中毒は、原因となる菌が腸管内で増えるまでに時間が必要なため、潜伏期間は約8時間~数日間となります。
感染型食中毒の代表例はサルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・病原大腸菌などが挙げられます。
 
「毒素型」は細菌が産生する毒素によって発症します。
「毒素型」はさらに「食品内毒素型」と「生体内毒素型」に分類されます。
「食品内毒素型」はすでに食品の中で菌が増え、毒素が産生されているため、潜伏期が約30分~8時間と短いのが特徴です。
一方、「生体内毒素型」は汚染物質を摂取し、体内で菌が増えて毒素が産生される場合をいいます。
食品内毒素型の代表例は黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌、生体内毒素型の代表例はウェルシュ菌やセレウス菌などが挙げられます。
 
細菌による食中毒発症者が多く出るのは、気温が高く、細菌が育ちやすい6~9月ごろといわれています。
 

ウイルス性食中毒

ウイルスが原因となる食中毒をウイルス性食中毒といいます。
病原性を有するウイルスによって汚染された食品等を経口的に体内に取り入れた結果、数日から数週間の潜伏期間を経て発症します。
ウイルス性食中毒の代表例はノロウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ロタウイルスなどが挙げられます。
ウイルスによる食中毒発症者が多く出るのは、12~3月ごろといわれています。
 

自然毒食中毒

自然毒が原因となる食中毒を自然毒食中毒といいます。
動物や植物が本来持っている有毒成分を食べることで引き起こされます。
自然毒は、動物性自然毒と植物性自然毒に大きく分かれ、動物性食中毒の代表例はフグ毒や貝毒、植物性食中毒はトリカブトや毒キノコ、カビ(カビ毒)などが挙げられます。
 

化学性食中毒

化学物質が原因となる食中毒を化学性食中毒といいます。
食品や食品原料に本来含まれていない有害化学物質を摂取することによって発生します。
代表例としては、重金属、農薬、食品添加物などが挙げられます。
 

最後に

食中毒とひとことで言ってもその原因はさまざまです。
弊社では、食中毒の原因となる物質の多種検査を行っております。
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参考文献
(健康・医療) 食中毒:厚生労働省
食中毒の原因と種類:農林水産省
北元憲利,「休み時間の微生物学 第2版」, 講談社サイエンティフィク, 2016年

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