グレーサー病

剖検所見は線維素性または漿液線維素性の胸膜炎、心外膜炎、腹膜炎および関節炎を特徴とする。病理組織学的特長は好中球の浸潤が強く線維素化膿性炎を特徴とする。野外例は髄膜炎を含むほか、血栓形成が比較的多く見られる。耐過豚の剖検所見はしばしば線維性の胸膜炎や腹膜炎がみられる。甚急性例での特徴的病変はほとんど認められず、胸水や心嚢水の増量、肺の充血水腫、肝、脾臓の欝血、リンパ節の充血水腫などの循環障害を示す。ときに心臓に赤紫色のを呈する高度の出血(マルベリーハート病類似)あるいは腎臓にまだら状の出血斑(七面鳥卵様腎)や筋炎がみられる。類症は敗血症または関節炎を主徴とする細菌疾病、すなわち豚丹毒、レンサ球菌病、サルモネラ病、マイコプラズマ病、急性型の胸膜肺炎。病巣からの分離はかなり難しく、分離率は通常30~60%にとどまる。グレーサー病の菌が脾臓や肝臓などの実質臓器からはほとんど分離されないのは菌が好中球やマクロファージに喰われやすく、また変性しやすいためであると考えられる。グレーサー病の抗体検査方法はCFテスト。感受性はペニシリン系およびテトラサイクリン系抗生物質、クロラムフェニコール、サルファ剤・トリメトプリム合剤などに感受性を示す。ストレプトマイシン、ネオマイシン、スピラマイシン、リンコマイシン、サルファ剤などには多くが耐性を示す。<豚病学 第四版より抜粋>O-N101125

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