圃場及び施設の交差汚染防止等

B.経営資源の管理

17.圃場及び施設の交差汚染防止等
番号レベル管理点適合基準解説(取組例・備考)参考帳票リンク
17.1必須有害生物への
対応
(1) 食品安全に影響を及ぼすすべての施設及び圃場において有害生物(小動物、昆虫及び鳥獣類等)の
侵入・発生による食品安全に関するリスク評価を実施し、対策を実施している。
農産物取扱い施設は、有害生物の発生状況を定期的に観察している。
リスク評価と対策、有害生物の発生状況は記録している。
(2) 駆除する場合には、食品安全に影響がない方法で実施している。
例えば、どのような有害生物が発生しやすいかを把握した後に、
進入路を塞いだり、駆除を実施する。薬剤での駆除は、
農産物等に薬剤の影響がないよう保健所または専門業者に相談後実施する。
17.2必須喫煙・飲食の
場所
喫煙・飲食をする場所は、農産物に影響がないように対策を講じている。例えば、作業場所から隔離された場所で喫煙・飲食をする。
作業場所と隔離されていないところで飲食する場合には、飲食後に清掃し、
または必要に応じて殺菌をして農産物の衛生に影響がないようする。
17.3必須従業員用
施設
食品の安全性リスクを最小限に抑えるため更衣室や貴重品置き場等の
従業員施設(公共施設を含む)を必要に応じて設計・提供・運用している。
例えば、専用ロッカーを設置する。
17.4重要青果物の
保管
汚染に対するリスク評価を年1回以上実施し、
物理的、化学的及び生物学的製品汚染リスクを低減させるための手順を定め、
農産物が指定エリアにおいて保持・保管され、下記を含め最適な状態で取り扱われている。
リスク評価の結果を記録している。
(1)農産物を保管する場所は適切な温度と湿度が保たれている。
(2)天井・壁等に結露した水滴が農産物に触れないようになっている。
(3)光に敏感な農産物(ジャガイモ等)を長期間保管する場合、光が入らない場所で保管している。
(4)農産物の日持ちを考慮し、適切な順番で取扱う手順を用意し、実施している。
(4)例えば、先入れ先出しを行っている。
17.5必須圃場及び
倉庫における
汚染と
交差汚染の防止
(1)圃場及び倉庫における下記のものの、
汚染と交差汚染に対するリスク評価を年1回以上実施し、
物理的、化学的及び生物学的製品汚染リスクを低減させるための手順を定め、
必要な対策を講じている。
対策は他の管理点の対策を引用してもよい。
1)種苗、作物及び農産物(地上に落下した作物を取り扱う規定を含む)
2)包装資材
3)収穫及び農産物取扱い関連の機械・設備・輸送車両・容器・備品等
(2) リスク評価の結果及び対策を記録している。
例えば、汚染物質には農薬及び農薬に関連するもの
(散布機械・調製器具(計量カップ・秤)・防除具(マスク・ゴーグル)・防除衣)、
肥料(特に堆肥や有機肥料)、薬剤・燃料・機械油、廃棄物、有害生物(昆虫及び鳥獣類)、
人由来のもの、周辺環境由来のもの等がある。
例えば、下記の事例がある。
電線にとまった鳥からの著しい糞の落下。ペットの侵入。農薬保管庫に隣接した収穫容器の保管。
収穫容器や被覆資材への軒先に巣を作った鳥による糞の付着。
農薬散布機を取り出す時に収穫容器に接触する可能性、
機械の燃料タンクから燃料が漏洩して収穫容器や被覆資材が汚染される可能性等を検討する。
他の管理点の対策を引用してもよい.
17.6必須農産物
取扱い施設に
おける
汚染と交差汚染
及び
異物混入の防止
(1)農産物取扱い施設及びその敷地内における下記のものの、
汚染と交差汚染及び異物混入に対するリスク評価を年1回以上実施し、
物理的、化学的及び生物学的製品汚染リスクを低減させるための効果的で適切な手順を定め、必要な対策を講じている。
対策は他の管理点の対策を引用してもよい。
 1)農産物
 2)包装資材
 3)収穫及び農産物取扱い関連の機械・設備・輸送車両・容器・ 備品等
(2)リスク評価の結果及び対策を記録している。
(3)農産物に使用する予定のない水が農産物取扱いエリアにある場合、
食品安全のリスクを最小限に抑えるよう、その水を管理しなければならない
(4)食品の安全性に影響を与える可能性のある空気、圧縮ガスは、食品安全のリスクを最小限に抑えるために、
定期的に確認し、適切に管理・取り扱わなければならない。
例えば、汚染物質には農薬・肥料・薬剤・燃料・機械油、廃棄物、有害生物(昆虫及び鳥獣類)、
汚水(停滞水・廃水)・雨漏りや結露による汚染、有害な排気、人由来のもの、
施設構造物(天井・壁・床等)・設備・備品(照明、空調、机等)等の
経年劣化・破損等による異物等がある。
必要な対策には、例えば、点検・補修・交換、ゾーニング(汚染エリアと清潔エリアを分ける)、
整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌、入場ルールの徹底等がある。
(3)農産物に使用する予定のない水は例えば、排水設備がないところでの
手洗い後や機械洗浄後の汚水をバケツにためている場合や、
従業員の飲み水、ボイラー用の水、冷蔵庫のドレン水などがある。
(4)食品の安全性に影響を与える可能性のある空気、圧縮ガスは例えば、
皮むきに使うコンプレッサーから出てくる空気、
施設に流入してくる空気に農薬ドリフトや野焼きの煙などがある。
対策は他の管理点の対策を引用してもよい。
17.7必要農産物
取扱い施設の
レイアウト
農産物取扱い施設のレイアウト図(見取り図)がある。リスク評価の資料として活用するためにレイアウト図を用意する。
例えば、エネルギー・水・吸排気の関連設備、製造設備・機械、
資材・工具・油類・掃除用具等の置場、入出荷口、出入口、靴の履き替え場所、
休憩・喫煙場所、飲食場所、トイレ、更衣場所、手洗場、廃棄物置場等が
明確になった農産物取扱い施設のレイアウト図を用意する。
17.8必要設計・配置・
施工・保守
食品安全に関係する建物およびその隣接スペースは
食品安全リスクを最小限に抑えるために下記を考慮して設計・施工および計画的な保守がされている。
(1)作業中および作業間の交差汚染防止を含む、良好な衛生管理の維持
(2)適切な洗浄および害虫駆除(建物内の機械・設備・器具の適切な配置も考慮する)
また、保守作業は食品安全リスクを最小限に抑えるよう実施している。
(1)参考資料に「栽培から出荷までの野菜の衛生管理指針」、
「もやし生産における衛生管理指針」「スプラウトの衛生 管理指針」(スプラウトの場合)、
Codex衛生管理規範(食品衛生の一般原則) がある。
(2) 例えば、開口部にメッシュを貼っている、床に水たまりができないようにしている、
排水溝に水が停滞しないようになっている。
17.9必須アレルゲン
管理
すべての農産物取扱い施設においてアレルゲン管理計画を整備している。
これには、アレルゲンとの交差接触のリスク評価及び交差接触を
低減または排除するための手順と管理手段を含む。
例えば、農場内でそばや小麦を取り扱っている場合、
青果物に接触しないよう農産物取扱施設や作業者を分けている。
17.10必須新規圃場の
適性の検討
下記の項目について検討した上で、新規圃場の使用を判断している。
検討の結果を記録している。
(1)農産物の安全(管理点15.1、16.1.1、24.5.1参照)
(2)労働安全(管理点14.1参照)
(3)周辺環境への影響(管理点21.1参照)
(4)自然保護地域の開発規制
(4)自然保護地域とは、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、
都道府県自然環境保全地域、 国立公園、国定公園、都道府県立自然公園、
鳥獣の特別保護区、生息地等 保護区、ラムサール条約登録湿地、世界自然遺産を指す。
17.11必須新規圃場の
問題への対策
管理点17.10の検討の結果、改善を行った場合は、対策の内容とその結果を記録している。
17.12必須農産物
取扱い施設に
おける
環境モニタリング
農産物取扱い工程において環境にさらされることによって生じ、
リスクとなりうる微生物等について下記の管理を行っている。
(1)管理点5.5.1(4)の抽出および管理点17.4、17.6の
リスク評価に基づき農産物取扱い工程および、
農産物取扱い施設における汚染リスクを特定している。
(2)特定した汚染リスクを抑えるための環境モニタリング計画を文書化している。
環境モニタリング計画には検証手段や頻度を含む。
(3) この計画は、食品安全マネジメントシステムに組み込まれて実施されている。
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