抑えられていない? サーコウイルス感染 2025年5月号
サーコウイルス2型の存在が明るみに出てから、各メーカーから販売されたワクチンの普及もあって、サーコウイルスを取り巻く環境は大きく変化しました。『これほど効果があるのか』とワクチン効果を体感した生産者は多いと思います。
しかし、ここ数年、サーコウイルスが関与しているのでは?と思われる事故や発育停滞、生産成績の低迷の声も聞こえてきます。
その陰にはPRRSがコントロールされていない現状や、その他絡みやすい疾病群ぼ存在など、様々な要因が絡んでいるようにも感じます。
弊社に持ち込まれる病性鑑定検査では、サーコウイルス、PRRSのウイルス関与と同時に、様々な最近疾病も分離されることが往々にしてあります。
例えば、
等々・・・となります。
サーコウイルス、PRRS、慢性疾病群など、様々なものが暴れやすい背景には、大本の川上部門に課題があることも考えなくてはいけません。川上部門とは、豚ではGP及びPS育成豚、妊娠母豚、授乳母豚、採精用雄豚、当て用雄豚を指し、畜舎の呼称では、育成管理舎、馴致舎、隔離舎、繁殖舎、分娩舎、雄舎が対象になります。
種豚群の免疫が不安定化することで起こる母子感染も無視は出来ません。種豚群の免疫が不安定であればあるほど、生後すぐの母子感染や早期感染の成立を許してしまい、結果として、離乳前に行っているマイコプラズマ・ハイオニューモニエワクチン、サーコウイルスワクチン、PRRSワクチンの成果も出にくくしている可能性はあります。
さらに、豚熱ワクチンの接種時期、豚丹毒ワクチンの接種時期、Appワクチンの接種時期、インフルエンザワクチンの接種時期など、ワクチン接種の状況による疾病の引き込み、針や接種方法の管理不備による引き込みなども増えているようにも感じます。
今までは抑えられていた症状が再燃している、今までとは異なる症状が見られるようになった、成績低迷が続いているなど、少しでもおかしいと思っている部分があった場合は、再度、ピッグフロー、種豚群の免疫状況、ボディコン状況、換気状況、各種ワクチンの選択の是非、使用しているワクチンの特徴の再認識、使用針や接種ルールなどの再確認など、見直しを図るようにして見てください。
情報はとても大事です。
些細なことがきっかけで気づけることもありますし、そのことで無駄な飼料や衛生費の向上も無くすことが出来ます。
情報を制限せず、些細な疑問を大事にし、気になったことはすぐ相談出来る環境は、課題解決には重要と感じています。
㈱食環境衛生研究所 菊池雄一