【猛暑対策2】氷給与と冷水浣腸 2025年8月号
6月頃からの畜肉相場の高騰はある程度予想していたものの、ここまでの高騰は結構な驚きと思います。今年の高い相場は、出荷頭数、出荷枝重量が大きく影響していますが、この2つに大きく関与しているものは、昨年の夏季~秋季での交配成績の低迷、季節問わずに発生が治まっていない疾病事故となります。
さて、前号でも夏季対策に触れましたが、その際に少し記述した氷給与、冷水浣腸に関する質問があったので、少し追加で説明をしたいと思います。この2つはいつでも手が出せて、いつでも辞められる手ごろな暑熱対策であり、豚にとっては、今人でも騒がれている熱中症の予防や対応にも優れています。夏季対策については、設備投資が伴うものを含め、この他にも色々あるのですが、ここはあえてこの2つに焦点を当てて説明したいと思います。
氷の活用
製氷機を利用し、いつでも給与できるようにします。暑い日のおやつや、食欲がない母豚、熱発時の母豚など、様々なシーンで活用できます。氷を口腔内に含むことで、涼となり、高い熱も取ることが出来ます。又、豚は固いものが好きであり、咀嚼することによって胃を動かし、食欲を改善させる効果も期待できます。ここも大きなポイントとなります。又、氷の種類は水をそのまま凍らせた素氷、少し塩を混ぜた塩水で凍らせた塩氷、麦茶を凍らせた麦茶氷などがあります。私は麦茶氷をお薦めします。麦茶にはミネラルが多く含まれているので、水分補給だけでなく、夏バテにも効果的です。

冷水浣腸
冷水浣腸は農場で使用している水をそのまま利用する方法となります。ゴムホース直接でも構いませんし、写真のようにカテーテルを利用しても構いません。食欲減退時、熱発時などの対策として有効な方法です。特に母豚の便秘症状は、体の中の老廃物の貯留、体熱の上昇や食欲低下も促します。特に夏季は暑熱や高い湿度による不快が増しますので、消化器系のトラブルは母豚、雄豚共に、無視が出来ないものとなります。要所の1つとして、1つのテクニックとして、活用して見てください。

今年も全国的に大変な猛暑になっています。涼しいはずの東北、北海道でも気温が35℃を超える日も珍しくありません。聞き飽きている事とは思いますが、昨年よりも多い猛暑日、異常な暑さ、異常な湿度であり、とても危険な夏になっています。
作業をされている皆さんの熱中症も心配です。定期的な休息、こまめな塩分や水分補強(お薦めはノンカフェイン麦茶)など、人と豚の健康を同時に守るようにしていきましょう。
㈱食環境衛生研究所 菊池雄一