成分分析
丸材には主に、押出材(BE)と引き抜き材(BD)があります。押出しは、材料の3軸方向から圧力を加え、コンテナの開口部から高圧で流出させ、断面積や形状を変化させて長さをのばす加工法で鉛管やアルミ合金形材などを製造する手段として活用されます。引抜きは金属材料をダイを通して引っ張り、ダイ穴と同じ断面形状の棒、管、線材をつくる加工法で、ステンレス鋼などは主にこちらになります。ステンレス鋼は、含有するクロム(Cr)が空気中で酸素と結合して表面に5nm程のごく薄い不動態皮膜を形成しており、耐食性が高いです。クロムが作る不動態皮膜は硝酸(HNO3)のような酸化性の酸に対しては大きな耐蝕性を示しますが、硫酸(H2SO4 )や塩酸(HCl)のような非酸化性の酸に対しては耐蝕性が劣るため、ニッケル(Ni)を8%以上加えて非酸化性の酸にも耐蝕性を高めています(SUS304など)。オーステナイト系ステンレス鋼は非磁性であるが、フェライトになると磁性を備え、マルテンサイト系ステンレス鋼は磁性があり、強度と共に耐摩擦性が高いが耐蝕性が少し劣るようです。(T100222)