ボツリヌス菌
酸素のある条件では生育できない細菌で、食品の中で増殖した菌の産生したボツリヌス毒素によって食中毒の原因となります。また、乳児では大腸細菌叢が発達していないため、大腸中で増殖した菌が産生する毒素によって乳児ボツリヌス症を起こすことがあります。産生する毒素の種類によって、A型菌からG型菌に区分される。食中毒は主にA型菌、B型菌、E型菌によるものが多いです。<特徴>土壌中、河川、動物の腸管など自然界に広く生息する。酸素のないところで増殖し、熱にきわめて強い芽胞を作る。強い神経障害をもたらす毒素を産生する。毒素の無害化には、80℃で20分以上の加熱を要する。<食中毒症状>潜伏期は8~36時間。主症状は、吐き気、嘔吐、筋力低下、脱力感、便秘、神経症状(複視などの視力障害や発声困難、呼吸困難など)。発生は少ないが、いったん発生すると重とくとなり、致死率は20%と高い。<過去の食中毒原因食品> 日本:「いずし」を原因食品とするE型菌による食中毒が多発しているが、A型菌、B型菌による食中毒もある。諸外国:食肉製品や野菜缶詰を原因食品とするA型菌、B型菌が多い。乳児ボツリヌス症の場合、蜂蜜、コーンシロップなどからの感染がある。<対策>いずしによる発生が多いので注意が必要。容器が膨張している缶詰や真空パック食品は食べない。ボツリヌス食中毒が疑われる場合、抗血清による治療を早期に開始する。G090217