レンサ球菌病
病原菌については、1930年代に初めて報告され、その原因はLancefield 血清群E群に属するβ溶血性レンサ球菌とされていたが、P.UおよびV群を含みStreptococcus porcinus という正式名称が与えられた。S.porcinusのE群菌は少なくとも6つの血清型が知られており、頚部膿瘍をおこすのは血清型Ⅳ型が最も多い。血清型Ⅱ型、Ⅳ型および型別不矧狽ヘ実験的に豚に病原性を示すことが確かめられているが、血清型Ⅵ型、Ⅶ型およびⅧ型の病原性は不明である。E群菌は血液加寒天培地上で明瞭なβ溶血性を示し、直径1~2mmの微小集落を形成する。P.UおよびV群菌も同様の培養性状を示す。液体培地で培養した菌の形態は比較的長い3~16個の連鎖状を示す。SLSの臨床症状は頚部リンパ節の明白な膿瘍の形成である。一般的な臨床症状は発熱、食欲不振、元気消失、好中球の増多などで、軽度の下痢を示す場合もある。SLSの病変は、実験感染では2時間~13日で頚部リンパ節からE群レンサ球菌が検出できる。菌接種後48時間後にはリンパ節において好中球の集簇がみられ、96時間以内に壊死がおこる。膿瘍の形成には少なくとも7~13日を要する。膿瘍は1~7cmの大きさに達し、内部は緑色、無臭の浸出液で満たされる。SLSの診断は、頚部における膿瘍形成で推定診断が可能であるが、確定診断は膿瘍から直接菌を分離することである。SLSの治療は舞wに形成された膿瘍の場合、外科的に処置をするのが一般的である。膿瘍が形成された場合には抗生物質による治療は望めない。SLSの予防にはクロルテトラサイクリンあるいはオキシテトラサイクリンを飼料添加することで良好な結果が得られている。<豚病学 第四版より抜粋>O-N101119