基礎管理の見直しと原点への帰還 2025年12月号

その仕事は何のためにやっていますか?
その目的はどこに向かっていますか?
それは本当に必要なことですか?
皆さんはここを意識して日々の仕事を行っているでしょうか。それとも意味がよく解らなくても、言われたことだからと言って仕事をしてしまってはいませんか?
この業界では常に疾病の話が付いて回ります。伝染病、届出伝染病、慢性疾病等々、未だにこの業界では大きな疾病や有名な病名が情報として盛んに飛び交っています。疾病は確かに対策しなくてはいけないことですが、ここに囚われすぎてしまうと、疾病名や新製品類の知識は豊富になるのですが、実際に必要となる知恵、工夫、疑問に思う心が失われてしまう傾向にあります。
皆さんは足し算管理と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは何も疑問に思わず、使うものだけが増えて、手間も増えていく管理を指した言葉です。成績の良い農場では、ある一定の法則が存在します。それは足し算管理ではなく、引き算の管理を自然に行っている農場となります。
引き算管理とは、常にそれは本当に必要なのか、やらなくてもここをしっかりと行えば必要がないのではないか、人にも、豚にも優しい管理とは何か、そもそも豚の生理はどうなっているのか等々、常に疑問を持ち、常に考え、常に知恵を講じて無駄な作業や管理を無くすことを優先にされています。養豚経営ではコストと手間をなるべく掛けず、使用する飼料の無駄をなくし、FCR改善と同時に売りを強くして儲けることが優先であると思います。
 
例えば、

  • 子宮洗浄(本当に必要な行為なのか、効果は出ているのか)
  • 手の挿入介助(緊急性なのか、何となくの実施なのか、介助しなくても済む管理を行えばいいのではないか)
  • 分娩舎処置管理の開始日齢(子豚の大きさや活力を見ているか、豚の生理を考えているか、初乳摂取は十分なのか)
  • 去勢の日齢(日齢による影響や同時に行う管理に相性があることを知っているか)
  • 断尾(長さ、出血の程度、傷の治り具合で感染症や事故に転じることを理解しているか)
  • 餌付け管理(開始日齢、給餌量、無駄や不備はないか)
  • ワクチンの選択と組み合わせ(ワクチン毎や農場の状況毎にワクチン接種日齢の修正は必要、相性の良くないワクチン同士も存在する、手間優先?豚優先?効果は出ている?)
  • 分娩処置時の薬剤注射(そもそも行う意味があるのか無いのか)
  • ホルモン剤(そもそも必要なのか、必要ならその目的は何なのか)
  • 治療用薬剤注射(構造、収容ロット、疾病によっては注射では却って被害が広がることを理解しているか、そもそもしっかりとした管理下であれば治療の回数は減らせるのではないか)
  • 人工乳餌付けミルク・前期ミルク・中期ミルクへの薬剤、資材類の添加(対応したい疾病を考えて決めているか、そもそも必要なのかいらないのか)
  • 受胎確認(受胎させるための事前の行為が優先、あくまでも補助的役割)
  • 害獣、害獣駆除(ハエの発生源、蚊の発生源、ゴキブリの発生源、ネズミの発生源、カラスの発生源を気にしているか、徹底抗戦をしているか、中途半端の対応になっていないか)
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    これ以外でも様々な管理プログラムが農場では存在しています。ここ数年で入社した人達だけでなく、10年以上その農場に勤務している管理責任者や先輩方でさえ、私達が入社した時にはすでにこの方法で行っていた、このワクチンは入社当時から変わらず使用しているが疑問には思わなかった等の言葉が多く見られます。得てして行っている管理プログラムでは、その行うセクションの人達、豚達にはまだ恩恵が見られないことが多いことも事実であり、未来の豚達、次のセクションのステージで効果を発揮させて欲しいと願っての管理プログラムであることを忘れがちになってしまいます。
    本当にその行為は必要なのか、無駄なものでは無いのか、他に行うべきことがあるのではないか等、皆さんの農場で今一度話し合って見てください。
     
    ㈱食環境衛生研究所 菊池雄一
     
     

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