ジビエ肉の寄生虫・食中毒リスクとは?安全な食べ方・対策を解説

「ジビエ肉は栄養価が高くて美味しいけれど、寄生虫や食中毒が心配…」
「野生の肉ってどうやって安全に食べればいいの?」

近年、ジビエ肉(鹿肉・イノシシ肉・熊肉など)はヘルシーで高たんぱくな食材として人気が高まっています。
しかし、適切な処理や調理をしないと、寄生虫や食中毒のリスクがある ことも事実です。

本記事では、ジビエ肉に潜む寄生虫や細菌・ウイルスのリスク、そして安全に食べるためのポイント を詳しく解説します。
ジビエ肉を安心して楽しむために、正しい知識を身につけましょう。

ジビエ肉とは?

ジビエ(Gibier)とは、狩猟によって捕獲された野生動物の肉 を指します。
日本では、主に鹿肉・イノシシ肉・熊肉・ウサギ肉・カモ肉 などがジビエとして流通しています。

ジビエ肉は、高たんぱく・低脂肪で鉄分が豊富 という特徴があり、フレンチや和食など幅広い料理に使用されます。
しかし、野生動物には寄生虫や細菌が潜んでいる可能性があるため、適切な調理・保存が重要 です。

ジビエ肉には寄生虫や食中毒のリスクがある

ジビエ肉は、家畜と異なり人間が管理した環境で育ったわけではない ため、寄生虫や細菌・ウイルスのリスクが比較的高いとされています。

特に、生食や十分に加熱されていない肉を食べると、寄生虫感染や食中毒を引き起こす可能性が高まる ため、注意が必要です。

【安全にジビエ肉を食べるために重要なポイント】

  • 十分に加熱する(中心温度75℃以上で1分以上)
  • 生肉や加熱不足の肉は絶対に食べない
  • 適切な衛生管理を徹底する(手洗いや調理器具の管理など)

ジビエ肉に潜んでいる可能性のある主な寄生虫

ジビエ肉には、人間に感染する可能性のある寄生虫が含まれていることがあります。
以下の表では、主な寄生虫の種類と、それが潜んでいる可能性のあるジビエ肉、感染した場合の影響についてまとめました。

寄生虫の名前主に見られるジビエ肉症状・影響感染予防策
住肉胞子虫(サルコシスティス)シカ肉・イノシシ肉食中毒(嘔吐・下痢・発熱)75℃以上で加熱
旋毛虫(トリヒナ)熊肉・イノシシ肉筋肉痛・発熱・顔面むくみ75℃以上で加熱(冷凍では死滅しない)
有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)イノシシ肉・シカ肉腹痛・下痢・栄養吸収障害75℃以上で加熱
ウェステルマン肺吸虫イノシシ肉・カエル肉咳・発熱・血痰75℃以上で加熱

住肉胞子虫(サルコシスティス)

住肉胞子虫は、主にシカ肉やイノシシ肉に見られる寄生虫 で、加熱不足の肉を食べると食中毒を引き起こします。

感染すると、嘔吐・下痢・発熱 などの症状が現れることがあります。

75℃以上で加熱することで感染を防ぐことができます。

旋毛虫(トリヒナ)

旋毛虫は、熊肉やイノシシ肉に多く見られる寄生虫 で、加熱不足の肉を食べることで感染します。

感染すると、筋肉痛・発熱・顔面のむくみ などの症状が現れ、重症化すると生命に関わることもあります。

旋毛虫は冷凍では死滅しないため、必ず75℃以上で加熱することが重要です。

有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)

有鉤条虫は、イノシシ肉やシカ肉に多く見られる寄生虫 で、人の腸内で成長すると栄養を吸収し、健康に悪影響を及ぼします。

感染すると、腹痛・下痢・食欲不振 などの症状が出ることがあります。

この寄生虫も加熱に弱いため、75℃以上で十分に加熱することが予防策となります。

ウェステルマン肺吸虫

ウェステルマン肺吸虫は、イノシシ肉やカエル肉に潜んでいる寄生虫 で、肺に寄生することで呼吸器に影響を与えます。

感染すると、発熱・咳・血痰 などの症状が現れることがあり、重症化すると呼吸困難を引き起こすこともあります。

この寄生虫も加熱により死滅するため、75℃以上の加熱が必要です。

ジビエ肉に潜んでいる可能性のある食中毒を引き起こす主な細菌やウイルス

ジビエ肉には、人間に感染する可能性のある細菌やウイルスが潜んでいることがあります。

以下の表では、主な食中毒原因菌・ウイルスと、それが潜んでいる可能性のあるジビエ肉、感染した場合の影響についてまとめました。

寄生虫の名前主に見られるジビエ肉症状・影響感染予防策
E型肝炎ウイルスイノシシ肉・シカ肉・熊肉発熱・肝機能障害・黄疸75℃以上で加熱
サルモネラ菌イノシシ肉・カモ肉下痢・腹痛・発熱75℃以上で加熱、調理器具の消毒
カンピロバクターシカ肉・イノシシ肉腹痛・下痢・発熱・嘔吐75℃以上で加熱、手洗いの徹底
腸管出血性大腸菌(O157など)イノシシ肉・シカ肉激しい下痢・血便・腎障害75℃以上で加熱、食材の分別

E型肝炎ウイルス

E型肝炎ウイルス(HEV)は、イノシシ肉・シカ肉・熊肉に多く潜んでいるウイルス で、加熱不足の肉を食べることで感染します。

感染すると、発熱・肝機能障害・倦怠感・黄疸 などの症状が現れ、重症化すると劇症肝炎を引き起こすことがあります。

特に妊婦が感染すると重症化しやすいため、注意が必要です。

サルモネラ菌

サルモネラ菌は、イノシシ肉やカモ肉に多く見られる細菌 で、食中毒の原因となります。

感染すると、激しい下痢・腹痛・発熱 などの症状が現れ、特に免疫が低い人や子ども、高齢者では重症化しやすくなります。

サルモネラ菌は加熱に弱いため、適切な調理を行えば感染を防ぐことができます。

カンピロバクター

カンピロバクターは、シカ肉・イノシシ肉に潜んでいることが多い細菌 で、少量の菌でも感染するため注意が必要 です。

感染すると、腹痛・下痢・発熱・嘔吐 などの症状が現れ、ギラン・バレー症候群(神経障害)を引き起こす可能性 もあります。

腸管出血性大腸菌

腸管出血性大腸菌(O157など)は、イノシシ肉やシカ肉に潜んでいることがある細菌 で、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こす可能性があります。

感染すると、激しい下痢・血便・腎障害 などの症状が現れ、特に子どもや高齢者は重症化しやすいため注意が必要です。

ジビエ肉の安全な食べ方・対策

ジビエ肉に潜む寄生虫や食中毒のリスクを防ぐためには、適切な処理・調理が不可欠 です。

以下のポイントを守ることで、安全にジビエ肉を楽しむことができます。

十分な加熱を行う

ジビエ肉は中心温度75℃以上で1分以上加熱する ことで、寄生虫や細菌のリスクを大幅に減らせます。

生肉に触れる時は素手で触らない

調理の際は、使い捨て手袋を着用する ことで感染リスクを防げます。

清潔な調理器具を使う

まな板や包丁は肉専用に分ける ことで、細菌の交差汚染を防げます。

他の食材と触れ合わないようにする

生肉と野菜や調理済みの食材が接触しないように注意しましょう。

適切に保存する

ジビエ肉は冷蔵(4℃以下)で保存し、早めに調理する ことが推奨されます。
長期保存する場合は、-20℃以下で冷凍 しましょう。

ジビエ肉の寄生虫や食中毒に関するよくある質問

ジビエ肉の寄生虫や食中毒に関する以下のよくある質問についてまとめました。

  • ジビエ肉の生食は絶対にダメですか?
  • ジビエ肉の寄生虫は冷凍すれば死滅しますか?
  • ジビエ肉はどこで入手するのが安全ですか?

それぞれの質問について解説します。

ジビエ肉の生食は絶対にダメですか?

はい、生食は非常に危険です。

加熱が不十分だと、寄生虫や細菌に感染するリスクがあります。

ジビエ肉の寄生虫は冷凍すれば死滅しますか?

一部の寄生虫は死滅しますが、旋毛虫(トリヒナ)などは冷凍では死なないため、加熱が必須です。

ジビエ肉はどこで入手するのが安全ですか?

保健所の許可を受けた施設で処理されたものを選びましょう。

道の駅や専門店など、安全管理が徹底されている店舗がおすすめです。

まとめ

ジビエ肉は栄養価が高く美味しい食材ですが、適切な処理・加熱をしないと寄生虫や食中毒のリスクがある ため注意が必要です。

特に、住肉胞子虫・旋毛虫・有鉤条虫・ウェステルマン肺吸虫 などの寄生虫は、加熱不足によって人に感染する可能性があります。
また、E型肝炎ウイルスやサルモネラ菌などの細菌やウイルスも含まれている可能性があるため、75℃以上の加熱・適切な衛生管理が重要です。

ジビエ肉を安全に楽しむために、正しい調理方法を守り、信頼できる販売店で購入する ことをおすすめします。
しっかりと加熱処理を行い、美味しく安全にジビエを堪能しましょう。

 

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