パスツレラ

出血性敗血症は経過が急なことと、全身症状やチアノーゼおよび全身性の出血性病変が特徴的である。肺炎例の菌分離に適する材料は病変部または肺門リンパ節で、まれに死亡例で心臓、肝臓あるいは腎臓などからも分離されることがある。ARでは鼻甲介病変部あるいは綿棒で採取した鼻腔拭い液から菌分離を行う。出血性敗血症例では血液や各主要臓器からの菌分離を行う。P.multocidaの各種抗菌剤に対する感受性は比較的高く、とくにペニシリン系、テトラサイクリン系、およびアミノクリコシド系抗生物質に対する感受性が高いといわれてきたが、1970年代前半には米国ではすでに薬剤耐性株が高頻度で検出されており、わが国でも1980年代に入って耐性株が出現し始めた。P.multocidaの薬剤耐性株が増加した抗菌剤としては、サルファ剤、カナマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ペニシリンなどが報告されている。P.multocidaに対する新しい抗菌剤としてニューキノロン系合成抗菌剤、マクロライド系抗生物質のチルミコシンやペニシリン系抗生物質のアスポキシシリンなどがあげられる。P.multocidaの予防方法は豚舎内の一般衛生管理の徹底、とくに換気や保温に注意するとともに、マイコプラズマ肺炎および胸膜肺炎、さらに発病の誘引となるオーエスキー病などをワクチンで予防する<豚病学より抜粋>O-N100507

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