兎年に思いを込めて、明けましておめでとうございます。 2023年1月号

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

 

昨年は円安や戦争、新型コロナウイルスなどの影響によって、物価高騰、燃料や飼料の高騰、建築資材や建築コストの高騰などが続きました。年が変わって今年こそはと思いたいのですが、中々この円安状況は変わらず、引き続き経営を圧迫している状態は続いています。
豚熱予防でワクチン接種を開始された都道府県も増えましたが、ワクチン接種した状態でも豚熱の発生は見られ、東北地区ではイノシシの北上(生活圏の移動)やイノシシからの豚熱陽性も報告がなされています。又、豚熱ワクチン接種を行っている日齢でも、まだ不安要素は多くあり、移行抗体価の関係やワクチン接種後の免疫上昇の状態なども不安視されている生産者は少なくないと思います。特に豚熱ワクチンの接種日齢時期は、下痢などの消化器系疾患、サーコウイルスやPRRSウイルス、浮腫病、すす病、連鎖球菌、グレーサー、サルモネラなどの細菌性疾患の影響を受けやすい時期と重なっていることもあり、豚熱ワクチン接種を行ったからと言っても油断が出来ていない状態が続いています。又、豚熱ワクチン接種の時期やコスト高の要因もあってか、豚丹毒ワクチンの接種を控える農場も増えているように感じます。豚丹毒もしっかりとした農場防疫が必要な疾病ですので、闇雲にワクチン接種を控える選択は避けた方が良いかも知れません。

今年も楽観視は出来ない状態ですが、厳しい時代に合わせて、種豚生産能力と更新計画の見直し、飼料効率の見直しと対策、人員数が限られる状態での引き算管理(少ない人数でより効率を目指す管理)の採用、無駄なものを使用しない・使用させない費用対効果の強化、同じベクトルで農場が向き合えるようにする農場方針と方向性の一体化など進めている農場も多く存在します。

円安も別の目線で見れば、輸入豚肉の高騰による国産豚肉の需要の高まりがあります。12月号での肉質の投稿もそれに関連はしていますが、今が売りを強くする、国産豚肉を購入して食べてくれるファンを増やす良い機会でもあります。さらに、輸入化成肥料が高騰していることでの豚糞堆肥への関心度の高まりもあります。ここはハウス、畑作は元々豚糞を使用しやすい環境はあるのですが、稲作については化成肥料以外使用する農家は少ないのが実情なので、ここに対するプレゼンを如何にして行うかもカギとなっています。自身又は関連業者で子実トウモロコシや飼料米を生産して使用している農場では、自農場の堆肥を利用することは多いと思います。窒素、リン酸、カリの3つの栄養成分のバランスがとても良く、土壌改良と肥料効果の両面を持っている豚糞堆肥は、まさにダイヤモンド的な価値だと思います。ダイヤモンドは磨いてきれいにして売ろうとしなければただの石と同じですから。

今回見直しが進んでいる事項の1つに、従業員の人員数に伴う教育方針の見直し、AI技術の取り入れもあります。農場で働いてくれる人材に限らず、運送関係、建築関係の人材も不足している状況がありますので、この点も業態全体で取り組みを考えていく必要はあると思います。
新型コロナウイルスの話題も4年目に突入しますが、昨年度から少しずつ落ち着いてきた感があります。新型コロナウイルスについては、まだ新たな変異株の出現が進むとは思いますが、今の対応策、防疫意識があれば大きな問題はないと感じています。衣食住の豊かな確保が人の生活の要とするならば、まずは働いてお金を稼ぐ必要があります。企業であろうが個人事業主であろうがその稼ぐ行動は変わりません。

寅年から新たに兎年に変わりました。折角の兎年なので、今年こそ養豚業界の飛躍を願いたいと思います。本年がとても幸ある年になりますようお祈り申し上げます。本年も宜しくお願い致します。

 

(株)食環境衛生研究所 菊池雄一

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