パルボウイルス病(PPV)

パルボウイルス病とは

病名:パルボウイルス病(Porcine parvo virus:PPV)

病因:

豚パルボウイルス(以下PPVと示す)。エンベロープを保有しない。
PPVは繁殖豚の繁殖障害を主徴とする疾病である。
1年を通じて感染、発病が見られ、免疫のない(低い)妊娠豚が感染すると、胎子(胚)の死亡、不妊、産子数の減少、死産等の異常産が発生する。
又、豚における浸潤度が高く、全国的に野外感染を受けている養豚農家は多い。
PPVの感染経路は主に口と鼻で、豚同士の直接接触、汚染された器具機材等を介して感染する。
その他の感染経路としては、感染雄豚との交配時にも感染が起こる。
PPVは感染後、鼻汁、唾液、糞便、精液中に排泄され、ウイルスを体外へ排出する。ウイルスの体外排出期間は約2週間と短いが、通常の消毒薬や飼養環境温度では容易に不活化されない。

症状:

妊娠豚以外の豚は症状を示さない。
免疫を獲得していない妊娠豚であっても、感染時には無症状で、死産が発生して異常に気ずくことが多い。
感染後死亡した胎子は妊娠期間中は子宮内に残存し、ほぼ分娩予定日に娩出される。
長期在胎は認められるが、流産はきわめてまれである。
異常子には、ミイラ化胎子、黒子、白子等の死亡胎子と起立不能、虚弱等の異常を示す生存子豚があり、異常子とともに正常に発育する生存子豚が同腹豚に混在することもある。
異常生存子豚は分娩後まもなく死亡するが、奇形や神経症状は見られない。
繁殖豚が妊娠早期(胎齢約30日齢未満)に感染すると、骨形成以前に死亡した胎子は子宮内で吸収されるため、発情回帰、無発情、不妊、着床障害、産子数減少等の異常が見られる。

剖検所見:

  • ・異常児(黒子、ミイラ胎児、虚弱子)
  • ・感染胎児に内水頭症がまれに見られる
  • ・母豚の異常は認められない

類似疾病:

  • ・豚日本脳炎(JE)
  • ・トキソプラズマ病(TOXO)
  • ・豚オーエスキー病
  • ・豚流行性下痢症(PED)

対策:

(1)ワクチンプログラムによる予防。
  ⇒ワクチンの種類や農場の症状等により実行するプログラムに違いがあります。
(2)飼養管理、飼養環境等の改善。
(3)繁殖豚及び雄豚の体調を維持する。

診断:

  • ◎PCR法による遺伝子診断
  • ◎赤血球凝集抑制反応(HI)
  • ◎細胞培養によるウイルス分離
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