夏季に繁殖成績を落とさないために 2023年6月号

今年の冬は例年よりも積雪が少なく、乾燥と低温で悩まされました。積雪量の少なさはその年の水の少なさにも直結しやすいため、今年が水不足に転じる可能性も否定はできません。又、4月や5月の天候は比較的恵まれて、結構な回数の夏日も記録していました。比較的早めに暑くなってきている天候ですが、今年の梅雨はどうなるのか、今年の夏はどうなるのか、まだ不明で曖昧な気候だと悩む時期が6月かも知れません。

 

毎年のことにはなりますが、夏に水のトラブル(水量、水圧、水質など)、飼料のトラブル(残餌、こぼし餌、傷み、変質、臭気変化、カビ毒など)、糞尿のトラブル(浄化槽、スクレーパー、コンポスト、発酵レーンなどの故障)、空調機器・設備関係のトラブル(寒冷紗、細霧装置、排気ファン、入気ファン、送風ファンなど)が起こってしまうと、それに伴うハエ、ネズミ、臭気も増加し、豚達の体調はもちろんのこと、農場の経営状態を左右する飼料要求率、出荷成績に大きく影響を与えることになります。

早い方は4月や5月から始めているとは思いますが、まだ遅れている人は早めの点検と準備と対応を行うようにお勧めします。

 

①チェックポイント

・水回り関係。

・井戸の状態。

・沢の状態。

・水量。

・水質。

・圧。

・出量。

・給水器(カップ式、ピッカー式)の状態。

※1日の時間帯で出やすい、出にくいなどがあるか。その状態を把握しているか。

※圧の掛かり方が畜舎ごと、畜舎内ごとに大きく異なることがあるか。その状態を把握しているか。

 

②飼料関係。

・配送ルール。

・飼料ローテーション。

・飼料タンクの状態。

・飼料ラインの状態。

・ホッパーの状態。

・給餌器、飼槽の状態。

※飼料タンクの清掃、投入量管理、変敗対策、カビ対策は行えているか。

※飼料タンクへの投入後から使い切るまでの期間がどうなっているか。その状態を把握しているか。

※飼料タンクの暑熱対策は行えているか。

※飼槽や給餌器内で飼料が変敗しないように管理できているか。

③糞尿関係。

・浄化槽の状態。

・堆肥設備の状態。(コンポスト、発酵レーン、堆肥舎など)

・スクレーパーの状態。

・ピット槽の状態。

※糞や尿が農場に長期滞在しない環境にできているか。その状態を把握しているか。

※ハエやネズミなどの存在を少なくできる環境にできているか。その状態を把握しているか。

※ハエやネズミに掛かる対策経費を抑えられる環境にできているか。その状態を把握しているか。

 

④空調機器設備関係。

・防鳥ネットの状態。

・寒冷紗の状態。

・送風ファンの状態。

・ダクトファンの状態。

・カーテン、モニターカーテンの状態。

・インバーター、センサーなどの状態。

・排気ファンの状態。

・入気ファンの状態。

※入気口の衛生状況、入気状況、フードの開口状況、ほこり、汚れなど。その状態を把握しているか。

※排気口の衛生状況、排気状況、フードの開口状況、ほこり、汚れなど。その状態を把握しているか。

※インバーター、センサーは正確に稼働しているか。その状態を把握しているか。

※夏季用の送風ファン、細霧装置などは正常に稼働できるか。担当者が思うようなコントロールができるか。その状態を把握しているか。

 

⑤その他重要となるもの。

・外周の整理整頓、草刈りなど。

・夏季用の飼料添加サプリメントの正しい選択。

・夏季の再発や不受胎や悪露を想定した交配管理。

・夏季の再発や不受胎や悪露を想定した雄豚管理。

 

㈱食環境衛生研究所 菊池雄一

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