いまからでも猛暑対策で出来ること 2023年8月号

今年も大変な猛暑になりました。昨年よりも異常な暑さと湿気であり、とても危険な夏になっています。毎年、暑い夏を想定して対策していた農場でも、今回の猛暑では対応が間に合っていないと言った声も聞かれます。又、8月のお盆時期が過ぎれば・・、9月になれば・・、と言った声も聞こえて来るのですが、こればかりは予想通りに涼しくなるか不明です。このままいくと9月以降も暑さに悩まされるかも知れません。

 

猛暑が豚達に与えるダメージは、何も猛暑時期に限ったことではありません。猛暑のダメージは様々なものに関与し、蓄積し、秋季時期に大きな影響を残します。今年の猛暑は確実に種豚、雄豚にダメージを与える危険な暑さだと思います。

 

ダメージを受けやすい事項(チェックが必要なもの)

    ①本交配用雄豚(乗駕欲、射精量、活力、奇形、受胎成績など)
    ②採精用雄豚(乗駕欲、採精量、活力、奇形、受胎成績など)
    ③当て用雄豚(フェロモン不足、発情確認不備など)
    ④飼料関係(飼料タンク、飼料ライン、給餌器)
    ⑤水関係(水量、水温など)
    ⑥繁殖雌豚(損耗頭数、発情、受胎成績、分娩成績など)
    ⑦哺乳子豚(虚弱、圧死、下痢、関節炎など)
    ⑧子豚、肥育豚(離乳体重、事故頭数、枝重量、要求率、出荷日齢、出荷頭数など)

 

今からでも出来ること(ウインドレス、セミウインドレス、開放全て対象)

①入気する側。
・空気を取り入れる側の風を少しでも冷やす工夫
・除草
・寒冷紗の利用
・散水
・消石灰乳の塗布(アスファルト面、壁)
 

    ②入気口

・入気口の網目のサイズ
・入気口の網目に溜まった塵埃の除去
・入気口のフードの掃除
・入気口が増やせる場合は増加(防疫を考慮した出入口の開放、サッシ窓の場合は取り外し、夏期専用の入気口を追加で開ける農場もいます)
 

    ③排気口

・排気口の網目のサイズ
・排気口の網目溜まった塵埃の除去
・排気口のフードの掃除
 

    ④少しでも通気をよくする工夫。

・必要のない天井板のチェックと可能なら取り外し
・必要のない壁のチェックと可能なら取り外し
・柵部分のチェックと可能なら取り外し。
 

    ⑤送風ファン

・同じ設定数でも総意工夫で体感温度は違ってくる
・稼働量のチェック
・風向、角度のチェック
・設定場所のチェック(どこを涼しくする?直接あてるのか、間接であてるのか)
・扇風機のチェック(設置場所、角度、ストレートでの使用、首振りでの使用など、風の動きと体感温度と室内温度は大きく変わる)
・追加の送風ファンも検討
 

    ⑥細霧管理

・気化熱により体感温度を低下させる工夫
・送風ファンとの組み合わせ
・ノズルから噴射される水滴のサイズにも注意(霧状がお薦め、夏季管理での水滴は床に落ちた時点で害になる)

    ⑦ペットボトルクーリング

・ビニールダクトファン管理との組み合わせが必要
・ビニールダクトファン管理が無い場合は送風管理との組み合わせが必要
 

    ⑧ホルモンプログラム

・受胎成績、分娩成績のアップが目的
 

    ⑨屋根、壁

・輻射熱、蓄熱を少しでも緩和する工夫、舎内の熱気を少しでも下げる工夫
・散水
・消石灰乳の塗布(アスファルト面、壁)
・太陽光高反射塗料の塗布
 

    ⑩飼料添加タイプの解熱剤資材の利用

・分娩前後での利用は多い
・その他のステージでも応用が利く
 

    ⑪クール系専用サプリメントの利用

・飼料添加による食欲増進、体感温度を涼しく保つ工夫がされている
 

    ⑫飼料タンク内の結露、飼料劣化、カビの発生を抑える工夫

・太陽光高反射塗料の塗布
・消石灰乳の塗布(本体、アスファルト面)
・寒冷紗の利用
・飼料購入ローテーションの見直し
・タンクの清掃管理
・カビ毒吸着剤の利用
・有機酸製剤の利用
・重曹の利用
 

    ⑬水抜き管理による水温を下げる工夫。(朝一番で10分程度、ただし水量に余裕がないと出来ません)

 

㈱食環境衛生研究所 菊池雄一

 

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