2023年度疾病データから見える傾向 2024年2月号

農場成績と疾病は切っても切り離せない関係性であり、いつの時代でも養豚経営の足元を脅かす存在であります。弊社では全国から様々な検査(抗体検査、細菌検査、ウイルス検査、病性鑑定検査、遺伝検査、水質検査、排水検査、堆肥検査、うまみ成分検査、飼料分析検査など)を受注しています。その中でも病性鑑定検査は、農場でタイムリーに問題になっている課題解決の診断に優れていることもあって、とてもご愛顧していただいています。この場を借りて感謝申し上げます。
 
この病性鑑定検査については、各農場での問題や課題をいち早く把握することが出来、その解決と取り組みを農場側へ情報共有することが出来ます。
新しい年を迎えたばかりで恐縮なのですが、弊社で2023年度に行った病性鑑定検査の集計データが下記になります。このデータは2023年度に弊社で実施した病性鑑定検査結果の疾病を、大まかに敗血症系、肺炎系、腸管・糞便系の3つに分けて集計した結果となります。
 
敗血症系
 
敗血症系としては、この頃人でもよく話題に入る連鎖球菌、相変わらず存在感がある病原性大腸菌、多くなってきているサルモネラ感染や、肺炎系と鼻炎系で影響度が増しているパスツレラなどが多くなっています。
 
肺炎系
 
肺炎系では、相変わらずPRRS、PCV2の影響は無視できない課題となっていますが、そことコラボするようにマイコプラズマハイオニューモニエ、マイコプラズマハイオライニスが増加傾向にあります。又、連鎖球菌、グレーサー、サルモネラ、パスツレラ、Appなども事故原因として影響している傾向が見られます。
 
腸管・糞便系
 
腸管・糞便系では、クロストリジウムを筆頭に、病原性大腸菌、サルモネラ、PPE(ローソニア)が分離されていますが、その中でも豚赤痢の存在が多くなっていることが解ります。豚赤痢は特定地域に限らず、種豚群、子豚群、肥育群など、関与ステージも多様になっています。又、クロストリジウムについては、あまり問題視される農場が少ないのですが、弊社としては、体の健康状態、腸管の健康状態の重要な要として捉えています。クロストリジウムの感染量が多い時と少ない時ではやはり、何らかのストレス、飼養環境の不具合、飼料や水のトラブル、他の疾病との混合感染での重症化、胃腸自体の調子や栄養吸収能力への影響なども懸念されます。病は気から・・病は腹から・・が基本であると思いますので、引き続き、農場の臨床状況のチェックをよろしくお願いいたします。又、原因究明のための対応や各種検査の実施について、いつでも弊社並びにスタッフまでご相談して戴ければ幸いです。
 
㈱食環境衛生研究所 菊池雄一
 
 

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