養豚業界の2023年の振り返りと2024年の展望 2024年1月号

皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、2023年の兎年を少し振り返ると、5月には新型コロナウイルス感染症が5類に変更され、コロナ禍の影響は何とか回復傾向が見え始めましたが、相変わらず、資材建材費の高騰、人材不足、飼料価格、豚熱及び豚熱ワクチン、暑熱、急激な寒波など、多様な話題に事欠かない年でした。さらに昨年は、夏季に襲った猛暑の影響(高温多湿)で、繁殖成績の低迷、種豚全般の体調面の回復遅れ、種豚の損耗増加など、全国の生産者へ大きく影響を与えました。その中でも特に、東北地区、北海道地区では、今まで経験したことがない暑熱環境になってしまい、その被害は顕著だったと思います。
 
秋になり12月に入っても、日中の気温が20℃に近づく日も多く、暖冬傾向かと思いきや、急激な寒波やドカ雪など、寒暖差が激しい気候となり、現場管理がとても難しくなっていたと思います。このこともあって、繁殖成績の低迷や疾病の誘発などにも転じやすく、昨年はPRRS、サーコウイルス、マイコプラズマ、連鎖球菌、豚丹毒、グレーサー、病原性大腸菌などの対策に追われる生産者も多かったのではないでしょうか。PRRS、サーコウイルスは大きなウイルス疾患ですが、その中でも連鎖球菌、グレーサー、マイコプラズ、豚丹毒、病原性大腸菌などの被害は結構目に付き、東北、北海道地域では、少し油断した結果がもたらしたPPVウイルスによる流産被害などの報告もありました。
 
さて、本年はどのような年になるのでしょうか。2024年問題でもある物流コストの増加、引き続きの課題でもある飼料コストの増加など、色々と不安なことではありますが、コロナ禍の収束に伴う外食や加工品の需要回復、各種イベント需要の増加などが明るい方向へ後押ししてくれることも願っています。また、農場ごとで出来ることも多いと感じています。重要なのは生産性の強化であり、外的環境や疾病などに負けない経営、余計な敵と戦わない経営を目指していくことだと感じます。今後も農場ごとの生産性の強化(飼料要求率、出荷枝重量、出荷頭数、事故率など)は進めていく必要があり、AI技術やDM(デジタルトランスフォーメーション)も積極的に取り入れることも必要と感じています。
 
最後になりますが、今年の干支は辰です。そして今年は辰年の中でも甲辰(きのえたつ)と呼ばれる年になります。甲辰は干支の中で41番目に現れるもので、辰年の4番目の干支になります。また、甲辰という言葉には「立ち上がる」という意味があり、新たなスタートを切るときに用いられることもあります。この甲辰(きのえたつ)にあやかり、さらなる発展を願い、皆様と一緒に養豚業界を盛り上げていきたいと思います。本年も皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。
 
(株)食環境衛生研究所 菊池雄一
 
 

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