今年もやってきた暑い夏 2021年8月号

梅雨が明けて今年も日本列島を暑い陽射しと嫌な湿気が覆っています。今年はいわゆる酷暑でしょうか。豚達の体調もですが、人の体調も崩しやすい気候にはとても参ってしまいます。でも愚痴を言っても始まりませんね。毎年のように巡る酷暑の年でも生産成績の落ち込みが少ない農場、少ないどころかさらにアップさせている農場も存在しています。毎年暑い夏はやってくるのです。常に言うことなのですが、昨年の夏季の失敗を毎回繰り返さないためにも、農場における夏場対策は周知徹底して乗り切りましょう。弊社では納得して戴いた農場にのみ、その農場に見合った夏季対策を提案して実行して戴いています。夏季対策は送風ファン、入気ファン、排気ファン、クーリングパド、ドリップクーリング、細霧システムなどの大掛かりな設備だけではありません。予算ゼロの対策も存在します。皆さんも知恵と工夫で乗り切りましょう。
暑熱で起こる現実
① 雄豚(本交配用)→活力低下、乗駕欲低下、雄臭気(フェロモン)の低下、射精量の低下、精子の死滅など。
② 雄豚(採精用)→乗駕欲低下、採精量の低下、精子数の低下、精子活力の低下、奇形の増加など。
③ 当て用雄豚→睾丸から出るフェロモン(雄臭気)の低下、ここが弱まると発情が乱れやすい、繁殖成績が低下しやすい、特に夏季対策での送風ファン、排気ファン、ダクトファンなどの風向、風量は雄臭気をマイナスにすることもあるので要注意。
④ 購入精液→夏季は思うようには手に入らない、夏季は精子数や活力が低下しやすい。
⑤ 繁殖豚→食欲低下、未発情、微弱発情、発情周期の乱れ、分娩舎授乳中の軽い発情、無乳、泌乳低下、乳房硬化、乳房炎、再発、悪露、流産、死産、早産など。
⑥ 子豚、肥育豚→虚弱子豚の増加、下痢症状の増加、増体不良、飼料要求率の低下、枝重量低下、肉質低下など。
⑦ 飼料変化。(成分、腐敗、カビ.カビ毒など)
⑧ 飲水変化。(成分、水量、水温、バクテリア汚染など)
⑨ ①~⑧により繁殖成績、出荷成績、枝肉品質などに大きな影響を与えます。
 
㈱食環境衛生研究所 菊池雄一

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