導入豚受け入れの盲点 2021年5月号

外部からPS導入豚を購入している農場、外部からGPを導入して自家PSを育成している農場など、農場毎の経営スタイルは様々です。この外部農場から来るPSやGPなどを最初に飼養する場所はどこになるでしょうか。
 
農場の条件に応じて異なるとは思いますが、最初は別棟の隔離舎へ移動、そこで最低でも2週間程度健康チェックや管理プログラムなどの処置を実施、その後育成管理豚舎へ移動(ここで雄当てを開始)、交配予定の1ヵ月ほど前になったら交配舎へ移動して交配に向けた準備を整える・・が理想とされています。
しかし、多くの場合はこの隔離舎、育成舎が存在しない場合も多く、肥育舎の一角へ移動されている状態も多々見られます。
肥育舎での飼養が100%悪い訳ではありませんが、やはりそのリスクは伴います。
イレギュラーな話とは思いますが、肥育舎で他のルートから来た免疫の違う豚達を飼養する農場が一定数存在します。あまり危険性を感じていないのでルーチンワークのように行われている事に結構びっくりすることがあります。
危険性を物語る事例も結構な頻度で発生しています。生産成績が良くない時期のちょっとした手当や知り合いの養豚農家が廃業するのでそこから頼まれて子豚を導入したなどと言った場合がそれに値するのだと思いますが、酷い場合PRRS、サーコ、サルモネラ、豚赤痢などによる急性の肺炎症状、急性の下痢症状などに見舞われます。運良く問題が可視化されていない場合は大抵の場合はスルーされることも多いので安心している農場は多いと思いますが、その油断したところに恐ろしい魔物は潜んでいます。今までは平気だったとしても急に農場の景色が一変することがありますので油断は禁物です。又、これら一連の症状はとても綺麗とされる農場から導入されたGP豚やPS豚でも発生することがありますので要注意です。いずれにしても肥育舎へ直接移動されてしまう動線スタイルは、馴致管理を通り越して無謀な感染、発病行為にも繋がりますので十分注意してください。
 
㈱食環境衛生研究所 菊池雄一

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