明けましておめでとうございます。 2021年1月号

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。今年は無事に開催されれば57年ぶりの東京でのオリンピック開催となります。
 
昨年は暮れに押し迫った中で、山形県にて豚熱(CSF)の発生がありました。群馬県で発生があった農場と同様に、山形県の生産者もワクチン未接種群の発病となっています。CSFワクチンの接種が始まった都道府県でも、農場内でワクチン未接種のグループが存在している場合は、まだ油断が出来ない状態となっています。
野生いのししの存在も東北地区全域に広がりつつあります。南東北の福島県、宮城県、山形県で追加されたCSFのワクチン接種ですが、12月29日の発表で秋田県が新たにワクチン接種推奨地域になり、同日にワクチン接種を行う旨も発表しました。北東北の残り2県(岩手県、青森県)でもワクチン接種が行われる可能性も出て来ました。今後はさらなる種豚と精液の移動や販売の制限も含め、今年の大きな課題になると思います。
又、昨年はCOVID19(新型コロナウイルス)に翻弄され悩まされた年となりました。日本でも感染者が増加傾向にある中、畜産業界は農場の従事者を中心に感染者や重篤者は少ない状況があり、農畜産業≒健康産業との認識も高まったことは喜ばしい限りです。求人数や雇用も若干上向きとなり、給与や賞与も通常通り又はそれ以上の手当てを出せている農場も多々見受けられました。世界的な豚肉の不測や、コロナ禍で巣ごもり需要が高まり、豚肉購入に影響が出なかったこともあって、養豚業界は何とか乗り切れた感があります。
 
今年もこのCOVID19(新型コロナウイルス)が、世界を巻き込んで翻弄する年になってしまうのかと思うと結構気が滅入ってしまいます。今回の騒動については、ウイルスの怖さよりは人の怖さが目立ったとも感じています。この人の怖さが治まるためにも、今年はCOVID19(新型コロナウイルス)のワクチン開発と接種が1分1秒でも早まるように願っています。
弊社では人の検便検査を毎月2万件以上取り扱っている実績があり、衛生検査所としての登録があります。このことから、昨年3月には早々に従業員及び家族向けのCOVID19(新型コロナウイルス)のヒト用検査を実施していました。月が替わるごとに状況が変わり、未知であったCOVID19(新型コロナウイルス)のメカニズムが徐々に解明されたことと、不活化剤が手に入る状況になったこともあって、昨年11月頃からは全国全ての人を対象に、ヒト用のCOVID19(新型コロナウイルス)PCR検査を実施しています。1月中旬には、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス(A型、B型)、RSウイルスの同時検査が可能な新たなPCR検査も実施する予定としています。又、社員の外回り人員には月に2回、社内従事人員には月に1回の唾液によるCOVID19(新型コロナウイルス)PCR検査も実施しています。顧客や関係各社へご迷惑を掛けないように弊社として出来ることを実施しています。
COVID19(新型コロナウイルス)については、無症状での陽性者が一定数いること、感染しているウイルス遺伝子のコピー数で他者への感染を広げる危険性があるかないかもある程度分かってきたこともあり、事業体各部署でのクラスターや、従業員の出勤停止などによる事業停止を未然に防ぐため、定期的な健康診断(月に2回又は月に1回の確認検査)を勧めています。他者へうつす危険性を未然に防ぐことが可能になるのと、無症状の陽性者を早期発見出来ることによって、大幅な業務停止を防げることも大きなポイントとなっています。健康的な豚を生産して消費者へ提供する事業を生業としている以上は、その従事者、関係各社は健康でなくてはいけないと思っています。
 
少し話を養豚へ戻しますが、弊社では昨年に豚の新しい検査項目としてローソニアエライザ抗体価検査が行えるようになっています。今まで曖昧だったローソニアの感染時期や感染量、農場での状況などが明確に判断出来るようになっています。今後も養豚向けの新しい検査の開発は随時進めています。今後も農場の豚達の健康維持、利益向上は勿論として、微力ながら皆さまの健康も弊社として守っていけたらと考えています。
本年が皆様にとってとても幸ある年になりますようお祈り申し上げます。本年も宜しくお願い致します。
 
(株)食環境衛生研究所 菊池雄一

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