秋と冬の管理 2020年11月号

今夏の猛暑も過ぎ去り、このところ急に秋めいています。北海道や東北の一部地域では初冠雪の頼りも届きました。この時期は全国共通で急激な寒暖差が目立つようになり、人にとっても、豚たちにとっても厄介な季節へと変わって来ます。
最初に申し上げた通り、今年は全国的に暑い夏になりました。この暑さの影響は記憶と共に過ぎ去ってくれればいいのですが、そう言うわけにいかないのがこの業界です。夏季の暑さの影響はこれからの季節が本番となり現れ、母豚、雄豚に継続的なダメージと成績不振を残す危険があります。
これだけ暑い夏季を経験すると、難しくなるのが秋季管理、冬季管理になると思います。そこでですが、皆さんの農場では秋季、冬季の空調管理はどうされていますか?何か工夫されていることはありますか?ウインドレス畜舎であれば、取り入れる空気の乾燥と冷気を如何に対応するか、入気場所や入気量をどう調整するか、排気量の設定をどう調整するか、攪拌ファン又はサーキュレーターファンをどう使用するか、又は使用しないか、開放豚舎やセミウインドレス豚舎であれば、カーテン管理をどう調整するか、モニターカーテンをどう調整するか、順送ファンをどう調整するか、それぞれの農場ごとの立地条件にも左右されることとは思いますが、悩みは尽きないのではと思います。
夏季と秋季・冬季では明らかに異なる点があります。夏季は明らかなジメジメした過湿環境と暑さ、秋季・冬季は乾燥と寒暖差が目立ちます。夏季については、除湿と涼しさ、如何にして体感温度をさげて、涼しく管理し、繁殖と増体重を改善させるか、秋季・冬季は、保湿と保温、急激な寒暖差と乾燥した空気を如何に改善するかがポイントとなります。これからの季節は呼吸器症状などの発生が目立つ時期となり、夏季時期とはやや異なった下痢症状も目立つ時期となります。CSF、ASFなどの伝染病も注視しながら、これからの季節で増加傾向にある、ヘモフィルス、グレーサー、パスツレラ、マイコプラズマ、連鎖球菌、ローソニアなどにも注意してください。

 

秋季、冬季にあまり重要視されない管理の工夫も一部紹介します。
・カーテンや入気口などの陽射し除け管理。(遮光シート、寒冷紗)
・クーリングパドの冬季利用。
・ビニールダクトファンの入気管理利用(陽圧管理)や攪拌利用や暖房器具として
の利用。
・排気ファンフードの冬季に向けた工夫。
 
(株)食環境衛生研究所 菊池雄一

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