冬季に向けた防寒対策はお早めに 2023年11月号

今年の夏はとても厳しい暑さと湿度になりました。この猛暑環境は全国的に見られたのですが、中でも涼しいはずの東北地区、北海道地区の被害は大きく、この地域の生産者はとても苦労されたことと思います。
尋常ではなかった夏の暑さが過ぎ去って一安心と行きたいところですが、まだ夏日が続いている地域も多く見られます。この夏日はかなり曲者で、秋季に入っての夏日は豚達にとって決していいものではありません。その大きな理由が寒暖差です。日中は25℃近くまで気温が上がるのに対し、夜間と朝方は10℃前後又は10℃以下の地域も見られるようになりました。豚は暑さ、寒さが続けば何とか対応しようとする生き物ですが、寒暖差だけはいただけません。調子を崩す要因はすべて寒暖差にあると言っても過言ではないと思います。
暑かった夏が過ぎ去り、秋季を迎えていますが、冬季はすぐそこに迫っています。地域によっては秋の期間は少なく、すぐに冬が来るところもあると思います。そこで今回は防寒対策とその準備についてお話したいと思います。

防寒の準備と実施

①防寒で使用できる資材の種類。
・農業用資材シート。
・農業資材用ポリビニールシート。
・使用済みのビニールダクトファンのビニールシート。
・梱包シート。(別名プチプチシート)
・プラダン。(プラスチック段ボール)
・スタイロフォーム。
・発泡ウレタン。
・コーキング材。
・角材。
・波板。
・ベニヤ板。
・給餌ミルクの袋。
・その他。
②排気ファンの点検と防寒。
夏季には使用した排気ファンですが、その中でも大ファンは冬季には稼働しない農場が多いと思います。フード付きもありますが、フード付きでも隙間が多く、そこからの冷気の侵入は否めません。使用しない排気ファンはしっかりと防寒してください。
③屋根、壁、天井板、ピット下などの点検と防寒。
隙間がある個所、壊れている個所、穴が開いている個所などの確認と修繕は済ませて置いてください。
④カーテン(モニターカーテンも含む)の点検と防寒。
破れている個所、巻き上げと巻き下げの状態確認、隙間の確認と修繕は済ませて置いてください。
⑤ビニールダクトファンの秋季、冬季の利用。
・ビニールダクトファンも使用次第では暖房機器、防寒対策になります。
・夏季で使用したビニールダクトファンを秋季、冬季用に再準備する。
・ポイントは設置する高さと位置、穴の数と位置と大きさ、インバーター制御による風量コントロール。
⑥送風ファンの秋季、冬季の利用。
・送風ファンも使用次第では暖房機器、防寒対策になります。
・夏季で使用した送風ファンを秋季、冬季用に再準備する。
・ポイントは設置位置と高さ、角度の調整、インバーター制御による風量コントロー
ル。
⑦クーリング・パド。
夏季時期以外は未使用の農場については、クーリング・パドの防寒を行ってください。ただし、隙間が出来ないように防寒することをお薦めします。又、防虫剤を利用するとネズミ忌避にもなります。
⑧熱源機器の点検と整備。
熱源機器の点検、センサー類の点検は確実に済ませて置いてください。使いたいときに使用できないことほど悲しいことはありません。
・コルツヒーター。
・ランプヒーター。
・ガスブルーダー。
・ガソリックブルーダー。
・パネルヒーター。
・床暖房。
・ガスヒーター。
・その他。
 

防寒対策で使われる目張り

防寒で使われる目張りは3つ存在します。
①外目張り。
隙間風、冷気の侵入を防ぐ目張り。
②内目張り。
熱を外に逃がさない保温を行うための目張り。
③部分的目張り。(スポット目張り)
保温したい場所を限定した目張り。
 

注意する点

①入気する場所、排気する場所を必ず取り決めること。
②入気場所から的確に入気されているか、入気場所以外からの入気はないかをチェックすること。
③排気場所から的確に排気されているか、排気場所が入気に転じていないかをチェックすること。
 
㈱食環境衛生研究所 菊池雄一。

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