伝染性胃腸炎(TGE)

伝染性胃腸炎とは

病名:伝染性胃腸炎 Transmissible gastroenteritis:TGE

病因:

繁殖豚:著しい泌乳力の低下
肥育豚:2〜3日の潜伏期を経てほぼ100%の水様性下痢、初期に食欲不振・下痢・嘔吐
哺乳豚:嘔吐・激しい水様性下痢、乳白色から黄白色、やや粘調となる。
脱水症状による体重の激減。
被毛粗造となり衰弱して5日以内に死亡。
生後日令の若いほど死亡率が高く、回復してもひね豚となる。

症状:

  • ・異常児(黒子、ミイラ胎児、虚弱子)
  • ・感染胎児に内水頭症がまれに見られる
  • ・母豚の異常は認められない

疫学調査:

  • (1)伝播が速く年齢に関係なく、高い発生率を示す。
  • (2)冬季に好発する。
  • (3)導入豚または導入豚に接触した未注射豚から発生。
  • (4)導入豚または導入豚に接触した未注射豚から発生。

剖検:

  • (1)小腸は黄色〜黄緑色の水様内容を満たし、その壁は退色、弛緩し薄い
  • (2)胃は未消化のミルク凝塊を入れ膨満し、胃憩室の横隔膜側粘膜に小出血斑

診断:

  • (1)小腸は黄色〜黄緑色の水様内容を満たし、その壁は退色、弛緩し薄い
  • (2)胃は未消化のミルク凝塊を入れ膨満し、胃憩室の横隔膜側粘膜に小出血斑

診断:

◇ウイルス中和反応(NT)
◎抗体価
◇ウイルス分離(糞便より)・PCR法による遺伝子診断
○蛍光抗体法
空腸の凍結切片標本を蛍光染色して鏡検する。特異蛍光・・・陽性

予防・治療:

  • (1)子豚に対する保温対策
  • (2)TGEワクチン(伝染性胃腸炎予防液)の接種
  • (3)飼養衛生管理を万全にし、他養豚場との接触、豚の導入先について注意する。

ワクチンの種類:

<母豚免疫用>
生ワクチン  :化血(浮羽株)、日生研(h−5株)
不活化ワクチン:日生研(h−5株)
<子豚免疫用>
生ワクチン :北研、京微、化血、共立、千葉血(TO−K株)

●接種時期・方法
(母豚用)ワクチンにより異なるが、妊娠豚による3週間間隔で2回、2mlずつ皮下接種。
なお、2回目は分娩2週間前に行う。
TGEの発生の多い11月から翌年4月に分娩予定の母豚のみ接種しても有効。
(子豚用)生後3日以内に3mlを経口投与。

類症鑑別:

・豚コレラ・オーエスキー病・ロタウイルス病・大腸菌症下痢・豚赤痢・サルモネラ症・壊死性腸炎

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