大腸菌症(Ecoli)

大腸菌症とは

病名:大腸菌症
病原体:毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管接着微絨毛消滅性大腸菌(AEEC)

疫学・症状:

  • (1)新生豚及び離乳豚に好発する(新生期下痢又は早発性下痢)。
  • (2)新生期下痢は生後5日以内に多発し、早いものでは数時間からみられ死亡率が高い。便性状は黄色軟便、白色粥状、粘液状と種々であるが、病勢が進むと水様となる。水様下痢が長く続くと脱水症状となり全身が萎縮、削痩し、24時間以内に死亡する。
  • (3)離乳後下痢は離乳後4〜10日に多発し、死亡率は低いが発育不全に陥る。便性状は灰白色・黄色軟便又は泥状便であり、水様になることは少ない。通常7〜10日で回復するが、その後の発育は遅延する。
  • (4)季節に関係なく発生する。母豚に異常を認めない。
  • (5)同腹豚が発生しやすく、原虫やウイルスとの混合感染が多い。

剖検:

  • (1)新生期下痢では全身の脱水、胃は未消化ミルクを入れ、腸管は弛緩し、腸内容は水様でガスを混じる。
  • (2)離乳後下痢では脱水、チアノーゼ、胃は未消化飼料を含み、腸管は黄色または血様の粘液物ないし水様物を満たす。

病理組織検査:

  • (1)ETEC感染では特徴的な病変に乏しい。
  • (2)敗血症性変化を呈したものは、時に髄膜炎、漿膜炎を呈する。
  • (3)AEEC感染では大腸粘膜のカタル性炎、粘膜上皮に菌の付着がみられる。

診断:

  • (1)新鮮な十二指腸、空腸上部内容物を培養し、106/g以上検出された場合、本病を疑う。
  • (2)DHL寒天では赤色、血液寒天ではβ溶血環を形成する株が多い。
  • (3)毒素検査:ST(耐熱性毒素)、LT(易熱性毒素)の確認
  • (4)定着因子:K88、K99、987P、別名F4、F5、F6及びF41の検出

予防・治療:

  • (1)感受性抗生物質による治療
  • (2)ワクチンによる予防
  • (3)部外者の立ち入り禁止
  • (4)資材の持ち込み時は消毒の徹底

類症鑑別:

伝染性胃腸炎、豚レンサ球菌症、豚サルモネラ症、豚ロタウイルス感染症、豚流行性下痢、豚コクシジウム病

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