豚流行性下痢症(PED)
豚流行性下痢症(PED)とは
■病名:豚流行性下痢症(Porcine epidemic diarrhea:PED)
症状:
- ・哺乳豚:激しい水様性下痢を呈し、斃死する。死亡率は50%以上
- ・肥育豚:一過性の下痢。回復までに約1週間を要する。
- ・母 豚:一過性の下痢、食欲減退、泌乳減少又は停止
診断:
- ○下痢便からのPEDウイルスの分離(Vero細胞により分離するが、分離率は低い)
- ・電子顕微鏡によるウイルス粒子の観察(専門機関のみ実施している)
- ◎ウイルス中和抗体の検出(感染抗体・ワクチン抗体の区別はつかない)
- ◎PCR法による遺伝子診断
- ・ワクチン抗体価(母豚)・・ 64倍前後2管の範囲(抗体持続期間は長い)1回接種では16倍前後の抗体価
- ・子豚の移行抗体価・・・・・ 約1ヶ月間持続
- ・感染防御抗体価・・・・・・ 16倍以上
- ・野外感染抗体価・・・・・・ 2倍以上
予防:
- ・日生研PED生ワクチンの接種
- ・母豚を免疫し、その乳汁を哺乳させることによる子豚の下痢阻止又は軽減
- ・2〜8週間隔で妊娠豚の筋肉内に2mlずつ2回接種する。2回目の注射は分娩予定の約2週間前とする。
治療:
- ・蔓延防止として日生研PEDワクチンの接種
- ・補液(経口・腹腔内注射)
- ・畜舎の消毒の徹底及び隔離飼育・早期離乳の実施
- ・栄養剤の投与(ビタミン・ガ−リック)
- ・泌乳低下(オキシトシンの接種)
類症鑑別:
- ・大腸菌性下痢症・サルモネラ症・壊死性腸炎(クロストリジウム)・ロタウイルス感染症
- ・伝染性胃腸炎(TGE)・キャンピロバクタ−・寄生虫感染症
抗体検査・病性鑑定の必要性:
- ・汚染の調査
- ・ウイルス中和抗体検査によりワクチンの必要性を検討する。
- ・ワクチン抗体価のテイク状況の把握
- ・斃死原因(類症鑑別を含む)を究明することにより、的確な治療方針を立てられる。