日本脳炎(JE)

日本脳炎とは

病名:日本脳炎(Japanese encephalitis:JE)

病因:

フラビウイルス科のフラビウイルス属に分類される節足動物媒介ウイルスで、実際にはアルボウイルスと総称される。(以下JEVと示す)
エンベロープを保有する。
JEVはコガタアカイエカ等の吸血昆虫から媒介し、繁殖豚の死流産、雄豚の造精機能障害を主徴とする疾病である。
近頃は1年を通じて感染、発病が見られる。

症状:

繁殖豚が妊娠中にJEVに感染しても、ほとんど臨床症状は示さず不顕性で経過する。
異常産のほとんどは、分娩予定日前後に異常子の出産という形で起こる。
時に妊娠90日目以内の流産、分娩予定日を過ぎても分娩しない長期在胎の経過をとる場合もある。
異常子には神経症状を示す初生子、妊娠末期に死亡したと推定される白子、皮膚と内臓が暗褐色または黒色を示す黒子、ミイラ化した小さな胎子、脳水腫(脳腔に水が貯留)胎子、皮下に出血や血様斑点が見られる胎子等様々な異常所見を示す胎子が見られる。
また、1腹の胎子全てが黒子の場合もあるが、一般には様々な胎齢の死亡胎子、異常初生子、正常子等が混在した状態で分娩されることが多い。

対 策:

(1)ワクチンプログラムによる予防。
⇒使用されるワクチンの種類や農場の症状等により、実行するプログラムに違いがありますので注意して下さい。
(2)飼養管理、飼養環境等の改善。
(3)繁殖豚及び雄豚の体調を維持する。

類似疾病:

  • ・豚パルボウイルス病
  • ・豚オーエスキー病
  • ・トキソプラズマ病

剖検所見:

  • ・死産胎児の脳腔に漿液が貯留
  • ・死産胎児の皮下出血、血様
  • ・感染胎児の内水頭症がまれに見られる
  • ・母豚に異常は認められない

剖検所見:

  • ◎PCR法による遺伝子診断
  • ◎赤血球凝集抑制反応(HI)
  • ◎細胞培養によるウイルス分離
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