豚サルモネラ症(SAL)
サルモネラ症とは
■病名:サルモネラ症(豚サルモネラ症)
■病原体:Salmonella enterica
疫学・症状:
- (1)日和見感染症のため「感染」=「発症」とはならない。
- (2)ひとたび汚染されると農場で常在化しやすい。
- (3)Salmonella CholeraesuisとSalmonella Typhimuriumによることが多い
- (4)敗血症型の急性例では数日以内に死亡する。
- (5)腸炎型では致死率は低い。
- (6)敗血症型は4カ月齢未満の仔豚に、腸炎型は離乳後の幼豚に発生が多い。
- (7)敗血症型、発熱(40~42℃)、体の末端、下腹部のチアノーゼ、横灰白色水様性の悪臭便、粘血便、脱水、可視粘膜の蒼白
- (8)腸炎型、軽度の発熱、数日~数週間にわたる黄白~黄褐色泥状下痢便
- (9)肺炎型、肺炎症状
剖検:
- (1)肝の腫脹と小白色壊死斑の散在
- (2)脾腫
- (3)咽頭、膀胱粘膜の点状出血
- (4)腸管膜リンパ節の腫脹及び充出血
- (5)慢性では空腸、盲腸、結腸におけるボタン状潰瘍
病理組織検査:
- (1)脾及びリンパ節の細網内皮細胞の活性化
- (2)肝の巣状壊死、チフス結節、細網内皮細胞の活性化、間質の小円形細胞の集簇
- (3)腸炎型では壊死性潰瘍性腸炎
診断:
- (1)主要臓器を材料とし、DHL寒天またはサルモネラ用培地で分離培養する。
- (2)保菌豚ではHTT培地により増菌後、分離培養を行う。
- (3)血清型別検査(O群及びH抗原)
予防・治療:
- (1)感受性抗生物質による治療
- (2)部外者の立ち入り禁止
- (3)資材の持ち込み時は消毒の徹底
類症鑑別:
増殖性腸炎、豚大腸菌症、伝染性胃腸炎、豚赤痢、豚壊死性腸炎、豚丹毒、豚レンサ球菌症、豚コレラ、トキソプラズマ病