浮腫病(VTEC)
浮腫病とは
■病名:浮腫病 ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)
■病原体:ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)
疫学・症状:
- (1)散発的に発生するが、続発することもある。
- (2)4〜12週齢の肥育豚に好発する。
- (3)致死率が高い。
- (4)発病後48時間以内に死亡する例が多い。
- (5)典型的な浮腫病では間代性痙攣、後躯麻痺などの神経症状と前頭部、眼瞼周囲、下腹部に顕著な浮腫が出現する。
- (6)非定形的浮腫である脳脊髄血管症では神経症状が主徴であり、浮腫は目立たない。
- (7)奇声
剖検:
- (1)全身の皮下水腫
- (2)胃壁、腸壁、胆管壁、腸管膜の水腫性肥厚
- (3)腸管膜リンパ節の充血・腫大
- (4)肺のうっ血、水腫
- (5)腹水や胸水の増量
- (6)脳脊髄血管症では水腫性変化が乏しい。
病理組織検査:
- (1)全身諸臓器の小血管壁の膨化、平滑筋の核濃縮、核崩壊、時に類線維素変性
- (2)結合織における漿液滲出
- (3)脳脊髄血管症では脳幹部における脱髄、小動壁の類線維素変性、血管周囲の好酸性滴状物の出現が特徴的。
診断:
- (1)新鮮な腸内容物を培養し、104/g以上検出された場合、本病を疑う。
- (2)DHL寒天では赤色、血液寒天ではβ溶血のある乳白色の集落を形成する。
- (3)毒素検査;ベロトキシン(VT2e、PCR検査、Vero細胞テスト)
- (4)定着因子の検査;F18線毛遺伝子の検出
予防・治療:
- (1)感受性抗生物質による治療
- (2)部外者の立ち入り禁止
- (3)資材の持ち込み時は消毒の徹底
類症鑑別:
離乳後下痢、豚レンサ球菌症、ヘモフィルス・パラスイス感染症、豚コレラ、豚ウイルス性脳炎、オーエスキー病、熱射病、豚サイトメガロウイルス病