残暑と秋季・冬季に向けた準備 2022年10月号

今年は全国的な猛暑、酷暑となり、かなり厳しい夏になりました。初秋に入ってもその暑熱の影響がやむことはなく、残暑として続いている地域は多いことと思います。

皆さんの養豚場がある地域によっては、暑さや気温、残暑の程度には差はあると思いますが、日本列島どこをとっても厳しかった夏季には変わりはないと思います。

さて、毎年のように巡って来る夏季の自然環境(猛暑、酷暑、水不足、ゲリラ豪雨、台風など)の天候変化を、ある程度の範囲までは予想して、その対応を事前且つ迅速に組まれている農場もあります。又、その逆として、事前準備や点検、諸所の対応に遅れが目立つ農場も存在しています。春夏秋冬を今まで通りの季節対応のまま、春は春に・・、夏は夏に・・、秋は秋に・・、冬は冬に・・など、事が起こってから対応していた農場では、豚達に多大なダメージを残すことになり、結果として生産成績が低迷する結果となっています。

 

「管理する側の意識」

夏季の準備は4月頃から、秋季の準備は7月頃から、冬季の準備は10月頃から、春季の準備は1月頃からを推奨しています。つまりは、“四半期前に四半期先の季節を思いその対策を講じよ”“儲けは決してラッキーではなく、しっかりした経営戦略と生産現場の対応力” と言ったところでしょうか。今年の猛暑、酷暑は時期になれば過ぎ去りますが、今年の秋は予想以上の寒暖差が付く、今年の冬は昨年以上の寒さが来る・・・など、次の季節を予見できる管理者意識、環境整備なども重要になると思います。今年の冬は例年よりも寒くなり大雪との予測も出ていますので、昨年よりも寒くなるかも・・寒暖差が激しいかも・・防寒の準備は出来ているかな・・カーテンに不具合は無いかな・・熱源機器の準備は大丈夫かな・・など、その予測に対する準備を万全な体制で行うようにしてください。

 

新型コロナウイルスがもたらした脅威も少しずつ変化し、社会が元の動きに戻りつつあります。しかし、未だ皆が気軽にあえて話すことができる環境には戻っていません。新型コロナウイルスによって隔離されてしまった交流や情報収集は、スピードを重視する業界にとって結構なマイナスだったと感じています。どんな状況であっても入手スピードを遅らせない情報収集行動や、正確なデータ管理は常に重要な位置を占めます。

来年1月には枝肉取引(格付け)の条件が変更になります。いい変化でもありますが、今までと同じ対応ではさらなる飼養密度の悪化、出荷日齢の延長、さらには上物率の低下も招く危険もあります。今回の条件変更で農場毎の出荷に関わるルールにもさらなる対応が求められる事と思います。

今後もさらなるコストの削減や新ルールの下での枝肉重量の確保、売り条件や売り先の確保など、売り自体を強くすることも求められますので、農場毎の目標や経営理念を今一度皆さんで共有して見てください。

 

(株)食環境衛生研究所 菊池雄一

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