馬インフルエンザについて解説!

馬インフルエンザ (equine influenza)とは

馬インフルエンザは、インフルエンザウイルス感染によって起こる著しく伝染
性の強い急性呼吸器感染症です。A型インフルエンザウイルスに分類される馬インフルエンザウイルス(EIV)の感染によって起こる馬の急性呼吸器疾患の総称です。その感染様式は、飛沫およびエアロゾル感染であり、著しく伝染力が強く、短時間の内に多数の馬が感染します。そのため、集約的に飼養管理されている競走馬のような群れに、ウイルスが侵入した場合には、競馬開催の中止をも含む極めて大きな被害が発生します。
 
ウイルス性のため、馬インフルエンザウイルスには、特効薬はありません。そのため、安静にして免疫力の回復を待ちます。二次感染(細菌性肺炎など)を防ぐために、抗生物質が使われることもあります。水分補給・栄養管理も重要です。馬インフルエンザの予防の柱は、不活化ワクチンの接種による抗体の賦与です。
 
2025年4月8日、熊本県の重種馬飼養農場3戸において馬インフルエンザの発生が確認されました。国内での発生は2008年以来となり、2007年の流行時には人の移動に伴う感染の拡大と考えられる事例もあったことから、安易に異なる馬飼養施設に立ち入らない、立ち入る際には靴や上着を替える、手指や車両の消毒を徹底するなどの対策を心がけてください。
 
「馬インフルエンザ」は、ウイルスを介して馬に感染する急性の呼吸器疾患の一種で、人間を含めウマ科の動物以外には感染しないとされています。
 

主な臨床症状や特徴

臨床症状としては、本症の最も顕著な特徴として、急速な有症状馬の増加が挙げられます。迅速な病原検出法が開発される以前は、この急速な有症状馬の増加が、暫定的な診断の根拠とされてきました。
典型的症状は、急な発熱(39 ~ 40℃)を伴う鼻漏や咳嗽などの呼吸器症状です。重篤度や有症状期間は、ウイルスの暴露量、飼養管理およびワクチンや感染による中和抗体の有無により大きく影響されます。最初に認められる症状は、通常、発熱であり、本症の潜伏期間(EIVに感染してから、症状が顕在化するまでの期間)は、2~3日間とされています。鼻汁へのウイルス排泄を認め始める時期も、症状の顕在時期と概ね一致しています。発熱が4日間以上継続した場合や、粘ちょう性を帯びた鼻汁を認めた場合には、二次的な細菌感染を疑う必要があります。また、発熱中には食欲低下や元気消失および活力低下がみられ、肺炎や気管支炎などの合併症を起こすこともあります。食欲低下の原因には、発熱以外にも咽喉頭部の疼痛も関与しています。下顎リンパ節の腫脹は稀です。咳嗽は、特に摂食中に発作的に認められることが多く、また、咽頭部を刺激することによっても容易に誘発できます。
 
馬
図. 参照:NARO農研機構
 

ワクチン

不活化ワクチンがわが国では使用されています。
 
本病は飛沫感染によって急速に伝播することから、馬の飼養衛生管理の徹底及び予防接種の励行により発生予防に努めるとともに、感染馬の早期発見・診断、隔離、移動の自粛、施設や器具の消毒等により感染拡大を防止することが重要です。管理者は馬の健康観察を徹底し、発熱、呼吸器症状など、本病を疑う症状を確認した時は、ただちに獣医師に連絡してください。また、本病が疑われる場合は、当該馬群は他の馬群との接触を避けて飼養してください。
 
昨今では益々、日ごろの衛生管理が重要となってきております。
弊社では、疾病検査等も行っておりますので、お役立ていただけますと幸いです。
また、消毒薬の試験等も随時受け付けております。
相談等でも構いませんので、いつでもお気軽にお問い合わせください。
 
参考ページ
>>公益社団法人 中央畜産会 馬インフルエンザ 第4版
>>NARO農研機構 馬インフルエンザ (equine influenza)
>>軽種馬防疫協議会 事務局(JRA 馬事部防疫課)
 
 

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