フモニシンの健康への悪影響とは?

はじめに

フモニシン類は、フザリウム属(Fusarium, 赤カビ)の一部のかびが農作物に付着し、不適切な生産管理や収穫・乾燥などによって増殖し、産生します。その発見は他のかび毒に比べて新しく、1988年に構造が決定されました。
自然汚染が多いのは、フモニシンB1、B2、B3で、ウマの白質脳症やブタの肺水腫など、家畜への影響のほか、とうもろこし加工品を主食としている地域において、新生児の神経管への催奇形性を示すとの報告があることから注目されています。また、ラットやマウスを使った動物試験では、肝臓や腎臓に発がん性が認められています。1)
 
フモニシン
 

化合物R1R2
フモニシンB1OHOH
フモニシンB2HOH
フモニシンB3OHH

 

フモニシンの健康への影響

1990年から神経管欠損の乳児が増加し、キャメロン郡だけで6週間のうちに6人の無脳症及び脳不全児が生まれました。調査の結果、国境近くのほとんどすべての郡で神経管欠損発症率が高いことがわかりましたが、テキサス保険当局はその年のトウモロコシにフモニシンが高濃度で含まれていたことやテキサスの馬にフモニシンによる致死性脳疾患が流行していたことから、フモニシンとの因果関係が疑われています。この理由として、フモニシンは胎児の葉酸利用を阻害し、新生児の神経管欠損のリスクを高めることや発症率が摂取していたトウモロコシのフモニシン汚染量に依存していることが挙げられます。2)
  

リスク管理状況(管理基準)

☆国内

未設定3)
 

☆国際機関及び諸外国3)

Codex

食品基準値※1(µg/kg)
未加工のトウモロコシ粒4000
トウモロコシ粉(コーンフラワー)
ひき割り粉(コーンミール)
2000

※1フモニシンB1及びB2の総量
 
米国FDA

食品基準値※2(µg/kg)
胚芽を除去した乾式製粉のトウモロコシ製品2000
ポップコーン用の精選トウモロコシ3000
完全に又は部分的に胚芽を除去した乾式製品のトウモロコシ製品4000
乾式製粉のコーンブラン4000
マサ(トルティーヤなどの生地)用精選トウモロコシ4000

※2フモニシンB1、B2及びB3の総量
 
EU

食品基準値※1(µg/kg)
未加工トウモロコシ4000
直接消費用トウモロコシ及び加工品(トウモロコシが主原料の朝食用シリアル・シリアル、加工食品及び乳幼児用トウモロコシ加工食品を除く)1000
トウモロコシが主原料の朝食用シリアル・スナック800
トウモロコシが主原料の加工食品・乳幼児用トウモロコシ加工食品200
直接消費用以外の500 µmより大きい製粉画分1400
直接消費者以外の500 µm以下の製粉画分2000

※1フモニシンB1及びB2の総量
 
引用文献
>>1.農林水産省, いろいろなカビ毒, (online),
>>2.食品安全委員会, ハザード概要シート(案)(フモニシン), (online),
>>3.厚生労働省, 資料1 食品規格部 平成30年2月27日, 食品中のフモニシンの規格基準の設定について, (online),
 
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