便で分かる体のあれこれ

皆さん、ご自分の便を毎回観察していますか?
便の性状・硬さ・色などが自分の体の調子や病気を知る手がかりとなります。

健康のため、病気の早期発見のためにもセルフチェックをしてみましょう。

よくある便のお悩みとして、下痢と便秘が挙げられます。

下痢とは、糞便中の水分量が異常に増加した状態をいいます。(水分量80%以上)
下痢の持続期間が1~2週間までのものを急性下痢症、3週間以上続くものを慢性下痢症といいます。

病態生理における下痢の分類は以下のようになります。

分泌性下痢毒素・脂肪酸・ホルモンの刺激による腸液分泌過多(水溶性下痢)
浸透圧性下痢下剤の乱用、乳糖不耐症※1、過剰な飲酒などによる小腸腔内の水分浸透圧の亢進(水溶性下痢)
滲出性下痢感染性腸炎などで、腸管壁が炎症によって傷害され水分吸収が抑制される
腸管運動異常過敏性腸症候群など

※1 乳糖不耐症・・・乳糖分解酵素であるラクターゼの欠損または活性の低下により、乳糖が分解できず、これにより下痢が生じる。乳糖不耐症には先天性(先天的にラクターゼが欠損)のものと、二次性のものがある。二次性乳糖不耐症は細菌やウイルスに感染し、腸管粘膜が傷害されることによって一時的にラクターゼ活性が低下することにより発症する。

疾患としての下痢には、過敏性腸症候群、乳幼児下痢症があります。

過敏性腸症候群・・・精神的 肉体的ストレスによって発症する腸の機能性疾患で、器質的病変はみられない。腹痛を伴う便秘・下痢の交代性の便通異常がみられる。

乳幼児下痢症・・・乳幼児の下痢症はウイルス(ロタウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなど)や細菌(腸管出血性大腸菌O-157など)の感染によるものが多い。症状は下痢の他に嘔吐、発熱、脱水症がみられ重症に陥ると循環障害やけいれんなどの中枢神経障害を呈する。

では、下痢の際に食事でどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
ポイントは3つ!!!
低脂肪低刺激易消化性のものを摂取することです。
また、脱水やナトリウム・カリウムの欠乏をきたしやすい為、水分や電解質の補給が必要です。

次に便秘です。
便秘とは、食物のカスが腸内に長くとどまっているため、水分が吸収されて固くなり排便しにくくなる状態を指します。

機能性便秘
① 弛緩性便秘・・・腸壁筋緊張の低下、蠕動運動の減少により腸内容物の停滞時間が延長。胃下垂の人に多い。

② けいれん性便秘
・・・副交感神経の興奮亢進による、腸管緊張増強の結果、腸内容の移送力が低下し、便秘を生じる(腹痛を伴い、比較的若年層に多く、精神的要因も多い)。

器質性便秘

 ① 腫瘍やイレウス(腸閉塞)などの為、腸管の狭窄による、便の通過障害がおこる。

便秘の際に気を付ける食事のポイントは

① 弛緩性便秘
・・・腸管に刺激を与え、排便習慣を確立させることが重要です。
食物繊維と水分を十分に摂取し、腸内環境を整えるために乳酸菌を含んだ食品を摂取することもおすすめです。

② けいれん性便秘
・・・腸管に刺激を与えないようにすることが大切です。またストレスを解消することも効果的です。

酸味・香辛料など、刺激の強いものの摂取を避けること、また刺激の強いものだけでなく日常的に過食を避けることが大切です。

ご自分のおなかの調子に関心を持って生活していきましょう。


『検便検査』については、こちらをご確認ください。
→ 


youtube