チフス菌・パラチフスA菌とは?|サルモネラの一種 脅威とは?
4月も後半になり、暖かい時期になってきましたね。寒い時期の食中毒はノロウイルスが有名ですが、暖かい時期は別の食中毒菌が台頭してきます。食中毒の原因菌といえば?と聞かれてサルモネラを思い浮かべる方も多いかと思います。そんな身近なサルモネラですが、注意するべき血清型があることはご存じですか?
チフス菌、パラチフスA菌という名前を聞いたことがありますか?それぞれ腸チフス、パラチフスの原因菌にあたります。名前だけでは気づかないかもしれませんが、実はどちらもサルモネラ属に属している菌です。症状としてはどちらも重症度は同等で、1~2週間の潜伏期間を経て頭痛・発熱・食欲不振・下痢などの全身症状を発症します。腸チフス、パラチフスは通常のサルモネラ感染症と区別され、どちらも3類感染症として分類されています。3類感染症は「特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症」という考え方で分類されており、感染した際は、保健所への届け出が必要になります。ちなみに世間を騒がせた、新型コロナウイルスは5類感染症に分類されています。
注意するべきサルモネラ属を紹介しましたが、実はサルモネラ属は2500種類以上あります。その中でも食中毒を起こす代表的なものは、S.Enteritidis、S.Typhimurium、S.Infantis、S.Thompson などがあります。また、かなりの種類がありますが、どうやって型を判別しているのでしょうか?
サルモネラ属の菌体の表面には菌体抗原と鞭毛抗原と呼ばれるものがあり、その組み合わせによって型を判別しています。また、一部の菌種では莢膜抗原と呼ばれるものもあり、こちらはチフス菌の病原性に関わるものです。菌体抗原、鞭毛抗原、そして莢膜抗原はそれぞれO抗原、H抗原、Vi抗原と呼ばれており、O抗原は数字、H抗原はアルファベットと数字を用いて識別しています。Vi抗原は陽性か陰性での判定になるため、数字やアルファベットでの識別は行いません。
国立感染研究所によると、チフス、パラチフスの感染経路は近年では主に海外からの帰国者が感染していますが、国内でも発生する場合もあります。ここ数年減少傾向にありますが、海外からの帰国時は注意する必要があります。上記で述べたような症状が出た際はチフス、パラチフスを疑い、検便検査を行いましょう。また、海外への渡航を定期的にする方は、検便検査も定期的に行うことで自身の健康状態を日々確認することが大切です。
弊社の検便検査では、サルモネラが含まれる検査項目をご依頼していただければ、チフス菌・パラチフス菌はサルモネラ属に属するため、チフス菌、パラチフス菌も含めて検査することができます。検査項目の結果について、サルモネラが陰性であれば、チフス菌・パラチフス菌も陰性という結果となります。弊社の報告書では、備考欄に上記についても記載させて頂いております。検便検査に関して、何か気になることがありましたら下記のリンクからご確認ください。
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参考
>>腸チフス・パラチフスとは 国立感染症研究所
>>IASR グラフ 細菌 2023 国立感染症研究所
>>サルモネラ感染症とは 国立感染症研究所
>>感染症法に基づく医師の届出のお願い 厚生労働省