PFASがもたらす人体への影響 PFASとは?PFOSおよびPFOAとは?

はじめに

石破茂内閣総理大臣が2024年12月3日の参院本会議で、一部に人への有害性が懸念されている有機フッ素化合物(PFAS)について、水道水を供給する事業者に検査と公表を義務付けする規制の強化も見据えて来春を目途に方向性を取りまとめる考えを示した事で更に注目を浴びているPFASですが、PFASって何?PFOS及びPFOAって何?と思われている方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムではPFASについてご説明させていただきます。

 

PFASとは

有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。PFASには炭素鎖の長さが異なる複数の同族体が存在し、その物性は炭素鎖の長さで大きくなりますが、中には撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の物性を示すものがあり、そのような物質は撥水・撥油剤、界面活性剤、半導体用反射防止剤等の幅広い用途で使用されています。
PFASの中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきました。

 

成分名用途
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)半導体用反射防止剤・レジスト、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤など
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤など

PFOS、PFOA には、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、現時点では北極圏なども含め世界中に広く残留しています。そして、仮に環境への排出が継続する場合には、分解が遅いために地球規模で環境中にさらに蓄積されていきます。
環境や食物連鎖を通じて人の健康や動植物の生息・生育に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

 

PFASの健康への影響

PFAS

 

PFOS、PFOA は、動物実験では、肝臓の機能や仔動物の体重減少等に影響を及ぼすことが指摘されています。

人においては、コレステロール値の上昇、発がん、免疫等との関連が報告されています。
しかし、PFASがどの程度の量が身体に入ると影響が出るのかについては十分な知見はありません。そのため、現在も国際的に様々な知見に基づく基準値等の検討が進められています。また、国内において、PFOS、PFOA の摂取が主たる要因と見られる個人の健康被害が発生したという事例は確認されておりませんが、環境省は内閣府食品安全委員会が行った食品健康影響評価の結果等を踏まえ、最新の科学的知見に基づき、PFASの暫定目標値の取扱いについて、専門家による検討を進めています。

 

PFAS(水質、血液、畜水産物)

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