消毒について|身近な科学
私たちの生活に欠かせない「食」。笑顔で「食」を楽しむには安全であり安心できるものであることが必要不可欠です。そのためには、清潔な状態での調理、食事が大切です。そこで今回は、“消毒”についてお話ししようと思います。
消毒とは
まず消毒とは、病原体の危険性がほとんどなくなる程度に不活化することです。滅菌とは異なり、完全に無菌にすることではありません。消毒には、熱や紫外線により物理的に微生物を殺菌する方法(紫外線ランプ)と、消毒薬を使用した化学的な方法があります。
今回は、消毒薬を用いた消毒について説明いたします。
消毒について
消毒はその効力の水準によって分類することができます(表1)。
滅菌 | いかなる形態の微生物生命をも完全に排除または死滅させる。 | 高圧蒸気滅菌、ホルマリンガス滅菌 | ー |
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高水準消毒 | 芽胞が多数存在する場合を除き、全て微生物を死滅させる。 | グルタラール(グルタールアルデヒド)、フタラール(アルデヒド類)、過酢酸など | 多数の芽胞を殺菌するには比較的長時間が必要だが、通常の使用において高水準消毒を達成する |
中水準消毒 | 芽胞以外の結核菌、栄養型細菌、多くのウイルス、真菌を殺菌する。 | 次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード消毒用エタノール、クレゾール石けんなど | 消毒薬によって真菌、ウイルス、芽胞に対する抗微生物スペクトルがそれぞれ異なる |
低水準消毒 | ほとんどの細菌、ある種のウイルス、真菌は殺菌するが結核菌や芽胞など殺菌しない | 塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジンなど | ウイルスや真菌の中には感受性のあるものも存在し、グラム陰性菌の一部が耐性を示す場合があるため、注意が必要 |
参考:実験動物の技術と応用 実践編 増補改訂版、172-173(表10-21 CDCガイドラインにおける消毒水準分類)
私たちがよく使用している消毒用エタノールは、中水準消毒に含まれます。
消毒薬の作用機序は微生物の細胞壁、細胞質膜、細胞質、核酸などに対する化学的な反応(酸化、凝固、重合、吸着、溶解など)に起因し、その使用濃度、作用温度、作用時間などにより効力は変化します。
消毒薬の使用上の注意
消毒薬を有効かつ安全に使用する上では、以下のような注意が必要です。
①消毒の目的に応じて必要な消毒水準を判断し、消毒薬を選択すること
②消毒薬の中には、金属・樹脂などを腐食、変質、変色するものがあるため、対象物に影響を及ぼしにくい消毒薬を選択すること
③消毒薬を正しく調整し使用すること
―希釈水の温度や室温が20℃を下回ると、効力が弱まる場合があります。
―希釈水が水道水などで無機イオンが含まれている場合、消毒薬によっては成分が沈殿して効力が弱まるため、このような場合には精製水を用いて希釈します。
④有機物(血液や糞尿など)で汚染されている場合、消毒薬の効力が弱まるため、十分に前洗浄を行うこと
⑤消毒薬の副作用や毒性に注意すること
―アナフィラキシーや接触皮膚炎、手荒れ、中枢神経障害などの副作用を引き起こすことがあるため、取り扱い時には手袋着用や十分な換気などが必要です。
⑥消毒薬の保管に注意する
―熱や直射日光を避けての保管や次亜塩素酸ナトリウムなど冷所保存(15℃以下など)の必要な消毒薬もあるため、指定された保管方法を守ることが重要です。
―使用期限を過ぎた消毒薬は使用しないようにしましょう。
②消毒薬の中には、金属・樹脂などを腐食、変質、変色するものがあるため、対象物に影響を及ぼしにくい消毒薬を選択すること
③消毒薬を正しく調整し使用すること
―希釈水の温度や室温が20℃を下回ると、効力が弱まる場合があります。
―希釈水が水道水などで無機イオンが含まれている場合、消毒薬によっては成分が沈殿して効力が弱まるため、このような場合には精製水を用いて希釈します。
④有機物(血液や糞尿など)で汚染されている場合、消毒薬の効力が弱まるため、十分に前洗浄を行うこと
⑤消毒薬の副作用や毒性に注意すること
―アナフィラキシーや接触皮膚炎、手荒れ、中枢神経障害などの副作用を引き起こすことがあるため、取り扱い時には手袋着用や十分な換気などが必要です。
⑥消毒薬の保管に注意する
―熱や直射日光を避けての保管や次亜塩素酸ナトリウムなど冷所保存(15℃以下など)の必要な消毒薬もあるため、指定された保管方法を守ることが重要です。
―使用期限を過ぎた消毒薬は使用しないようにしましょう。
おわりに
このコラムを通して、科学が身近な存在になってくだされば幸いです。
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参考文献
1. 実験動物の技術と応用 実践編 増補改訂版(丸善出版)