ウシの乳房炎とは?

乳房炎は「乳牛の職業病」とも呼ばれる、酪農家にとって身近な病気です。乳房炎によって引き起こされる経済的損失は年間800億円にのぼるとする試算もあり、対策が重要視されています。
 

「乳房炎」とは?

乳房炎とは、乳頭口から微生物が乳房内へと侵入し、定着及び増殖することで起きる乳房内の炎症です。乳房炎の原因となる微生物は多岐にわたり、細菌、ウイルス、真菌、藻類などによって引き起こされることが知られています。
主な症状としては乳房の腫脹や硬結、乳汁の色の異常、乳汁中に凝集塊がみられます。また、臨床症状がみられないものの体細胞数の増加や乳汁中に細菌がみられる、潜在型乳房炎もあります。
 

「体細胞数」とは?

乳汁1ml中に含まれる細胞数はSomatic cell count; SCC (10^3/ml))と呼ばれ、そのほとんどが乳腺上皮細胞と白血球です。乳房で感染が起こると、感染防御のために白血球数が増え、乳汁中体細胞数が増加します。原乳の品質の基準の一つとしてこのSCCを測定するため、値が高い場合はその原乳を出荷できない可能性もあります。
 

乳房炎は、原因菌の侵入経路によって2つに分けられます。

乳房炎は、原因菌の侵入経路によって環境性伝染性の2つに分けられます。
 

環境性乳房炎

環境性乳房炎とは、環境に多く存在する菌によって引き起こされ、搾乳と搾乳の間に環境から感染する乳房炎です。原因微生物の例として、環境性ブドウ球菌、環境性連鎖球菌、大腸菌群などが挙げられます。
 

伝染性乳房炎

伝染性乳房炎とは、本来環境中には多く存在しない菌が原因で、主に搾乳中に、搾乳者の手やミルカーを介して伝播する乳房炎です。黄色ブドウ球菌、マイコプラズマ、コリネバクテリウムボビスなどが原因微生物となります。
乳房炎を引き起こす原因微生物は多様であり、病原体の種類によって病態も治療効果も異なります。
 

最後に

弊社で実施可能な乳房炎検査は細菌検査、体細胞数、細菌数測定、薬剤感受性試験です。
迅速な検査が早期治療・予後良好につながりますので、ぜひお問い合わせください。
 
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