マダニ感染症 SFTSとは│症状や感染経路、致死率、治療法は?犬猫の感染も

近頃、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の感染・死亡事例が増加しています。
SFTSは、マダニが保有しているSFTSウイルスを媒介することでかかる感染症であり、マダニは主に森林や草地に生息し、春から秋に活動が盛んになります。
感染経路は、マダニに刺されることや、SFTSに感染したペットとの接触などあげられ、また2023年4月には国内で初めて「ヒトからヒト」への感染が確認されました。
SFTSの発生状況としては、2013年以降増加傾向にあり、2023年には感染届け出数が過去最多の133人となりました。
 

SFTSの症状は?

SFTSに感染すると、主に発熱と消火器症状(食欲不振や嘔吐、下痢、腹痛など)があらわれます。
また、頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節の腫れ、呼吸不全症状、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)があらわれる場合もあります。
 

SFTS感染経路に感染者との接触も│ヒトヒト感染も明らかに

SFTSの感染経路としては、マダニに噛まれることや、SFTSに感染したペットとの接触などがあげられます。加えて、SFTS患者との接触で感染する「ヒトヒト感染」も明らかになっています。
2023年4月、国立感染症研究所によると、20代の男性医師がSFTSに感染した患者を診察した11日後に発熱や下痢などの症状を訴え、その後SFTSへの感染が確認されました。
診察をした患者と男性医師のウイルスが同じものであると考えられることから、「ヒトからヒト」への感染例と診断されました。
医師が患者を診察する際、初めはマスクのみの着用であり、患者が死亡した後の処置では、手袋やガウンなどを着用したものの、目を覆うアイガードはしていなかったとのことです。

 

SFTSの致死率は?


 

国立感染症研究所の研究によると、日本におけるSFTS患者の致死率は27%とされています。この数値は、SFTSがヒトにとって重篤な感染症であることを示しています。
さらに懸念されるのは、犬や猫における致死率の高さです。
犬では40%、猫では60%とヒトよりも高い致死率であり、ペットとして犬や猫を飼っている方は特に注意が必要です。
 

SFTSの治療法は?

SFTSの治療は、主に対症療法が中心となります。
対症療法とは病気の根本的な原因を取り除くのではなく、患者にあらわれた具体的な症状を和らげることを目的とした治療法です。
また、国内では2024年6月に抗ウイルス薬(ファビピラビル)が承認されています。
病状の進行が予期される場合には、この抗ウイルス薬の使用も検討されるようになりました。
 

もしマダニに噛まれたら


 
マダニ類の多くは、ヒトや動物の皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日から10日以上もの長時間吸血します。しかし、噛まれたことに気づかないケースも少なくありません。
もし吸血中のマダニを見つけても、無理に引き抜いてはいけません。
無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚の中に残って炎症を起こしたり、マダニの体液が逆流して病原体が体内に入りやすくなる恐れがあります。
マダニに噛まれた場合は、自分で対処しようとせず、必ず皮膚科などの医療機関を受診し、適切な処置(マダニの除去や洗浄など)を受けてください。
また、マダニに噛まれてから数週間は自身の体調に変化がないか注意を払い、発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
その際には、マダニに噛まれたことを必ず医師に伝えるようにしましょう。
 

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記事監修

この記事を書いた人

板倉 裕明

ソラーレどうぶつ診療所 獣医師

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