エビ疾病~鰓随伴ウイルス病~

病原体

鰓随伴ウイルス病(Gill-associated virus disease)は一本鎖RNA +鎖、ニドウイルス目(Nidovirales)ロニウイルス(Roniviridae)オカウイルス属(Okavirus)のGill-associated virus(GAV)が病原体です。
GAVはエンベロープを有す桿状ウイルスであり、ヌクレドカプシドの大きさは、166~435nm×16~18nm、エンベロープを含めると183~200nm×34~42nmです。
本ウイルスは6種類の遺伝子型をもつイエローヘッド複合ウイルス群のうち遺伝子型2といわれるものです。
※イエローヘッド病の原因ウイルスで知られているYellowhead virus; YHVは遺伝子型1です。
 

主症状

水面近くや池の端を遊泳する、摂餌しなくなる、削痩、緩慢遊泳、胴体及び脚の赤変、鰓のピンク色から黄色への変色等があげられます。また、外部寄生虫などの体表への付着が増加することも特徴です。
 

分布

オーストラリア、タイ、ベトナムオーストラリアでは本病によるウシエビの死亡が報告されています。タイ、ベトナムでは発症は報告されていないが、健康なウシエビから本ウイルスが検出されています。
日本での発生は報告されていません。
 

宿主

自然感染はウシエビのみですが、実験感染ではブラウンタイガープローン 、バナナエビ、クルマエビでも感染、死亡を引き起こします。
 

感染経路

自然感染経路として、本ウイルスに汚染された飼育水や感染個体の捕食を介した水平感染が疑われています。
実験感染では飼育水中にウイルスを添加する浸漬法よりも感染個体を経口投与する方法の方が感染率及び死亡率ともに高いことが報告されています。
また、本ウイルスや感染組織により表面が汚染された配偶子による垂直感染も疑われています。
 
以上のことからエビの養殖の際、経済的損失の可能性が高い本疾病に対してリスク管理が必要です。
 
参考文献
Spann et al., (1997) A yellow-head-like virus from Penaeus monodon cultured in Australia. Dis. Aquat. Organ., 31, 169–179.
Spann et al., (2000) Differences in susceptibility of some penaeid prawn species to gill-associated virus (GAV) infection. Dis. Aquat.Organ., 42, 221–225.
OIE Manual of Diagnostic Tests for Aquatic Animals 2014 (2012), chapter 2.2.8. Yellow Head Disease
Cowley et al., (2000) Detection of Australian gill-associated virus (GAV) and lymphoid organ virus (LOV) of Penaeus monodon by RT-nested PCR. Dis. Aquat. Organ., 39, 159-167.
Vega et al.(2004) Quantitative real-time RT-PCR demonstrates that handling stress can lead to rapid increases of gill-associatedvirus (GAV) infection levels in Penaeus monodon. Dis. Aquat. Organ.,95,195-203.
農林水産省:輸入水産動物に関するリスク評価書概要 【甲殻類】
Viral Threats to Australian Fish and Prawns: Economic Impacts and Biosecurity Solutions—A Systematic Review
 
 

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