【有機酸】クエン酸とは?
クエン酸とは
クエン酸はレモン果汁から発見され、柑橘類や梅干しの酸味成分として知られています。自然界に多く存在する有機酸で、食品、化粧品、医薬品、工業用途など多くの分野で使用されています。
図1. クエン酸の構造
クエン酸の利用
食品添加物
酸味料:炭酸飲料やキャンディー、ドレッシングなどの酸味や風味補強に使用されます。
保存料:酸性度を上げることで、微生物(細菌、カビなど)の繁殖を抑え、食品の腐敗や品質劣化を防ぎます。また、食品の酵素反応を抑制し、食品の変色や風味の変化を防ぎます。
乳化剤:アイスクリームなどの乳脂肪分の分離を防ぐ乳化作用に機能し、滑らかな食感と品質向上に寄与します。
洗剤
金属イオンと錯体形成するキレート効果により、水回りのカルシウムの蓄積物や水垢などを取り除くことがでます。また、このキレート効果により、硬水中に含まれるCaやMgを取り除くことで、泡立ちを良くし洗浄効果を高めることができます。
化粧品
酸として機能するため、肌のピーリング効果があり、古い角質を除去するために添加されています。製品のpH調製としても使用され、敏感肌用製品に使用することもあります。
医薬品
輸血用の血液保存のため、抗凝固剤として使用されます。ウイルスの不活化にも役立ちます。薬の味を改善し、服用しやすくするために添加されることもあります。
エネルギーの供給源(図1)
人は活動するために糖質(グルコース)からエネルギーを生みだしています。このエネルギーと言ってもよい物質がATP(アデノシン三リン酸)です。このATPの生成経路にクエン酸がとても重要な成分として登場します。
ATPの生成経路は、『解糖系』と『TCA(クエン酸)回路』の2通りあります。
解糖系
酸素を使用しない代謝経路です。
グルコースを摂取すると、解糖系という経路で「ピルビン酸」まで変換され、ATPを2個作りだします。
ピルビン酸は、酸素がないと乳酸に変わります。
※マラソン後に筋肉中に乳酸が溜まるのは、低酸素状態で運動をしたためです。また、死後硬直は、呼吸が止まっても体内の糖が解糖系で代謝され、乳酸が溜まることで起きる現象です。
TCA(クエン酸)回路
酸素を必要とする代謝経路です。
ピルビン酸は、酸素下ではアセチルCoAに変わり、クエン酸と反応しTCA(クエン酸)回路で代謝され最終的にATPを34個作り出します。その際、二酸化炭素と水を排出します。
解糖系よりTCA(クエン酸)回路の方が、多くのATPを作り出すことができます。
図1. エネルギー供給源
TCA(クエン酸)回路は、酸素とクエン酸が必要ですが、他にもたくさんのミネラルや栄養が必要です。これらが不足すると、体内にピルビン酸や乳酸などの酸性物質が体に溜まり、体が酸性側に傾いてしまいます。そのため、人の血液は健康な状態では弱アルカリ性ですが、疲れてくるとpHが下がり弱酸性になります。クエン酸を多く摂取し、TCA(クエン酸)回路が回ってエネルギーがたくさん生み出されると、体内の酸性物質(ピルビン酸や乳酸)が減り、二酸化炭素(酸性物質)と水が体外に排出されるので、体はアルカリ性に傾きます。疲れた時に梅干しなどの酸味のあるものが食べたくなり、いつもよりおいしく感じるのは、エネルギーを作るために必要なクエン酸を欲しているからです。
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