分娩時における母豚への輸液療法
1.序論
年間に母豚が生む子豚の数は、豚農家の収入に影響を与える。分娩時や泌乳期における母豚の健康状態が健康な子豚を生むことができるか否かに影響する。分娩時の母豚には特に注意を払う必要がある。分娩には平均3~5時間かかるが、この時間は母豚や子豚に害を及ぼす可能性がある。分娩時に子豚が生まれる間隔は12~15分だが、20分を超える母豚も見受けられる。
輸液療法は脱水症対策や健康状態の改善に用いられている方法である。本研究では分娩時の母豚における輸液療法の効能を評価することを目的とした。
2.方法
一般的な農場から妊娠117日の健康な母豚3頭を選択した。
母豚は清潔な分房にて飼育した。
初めの子豚が生まれてから母豚に対して以下のように処置した。
母豚A:Acetar輸液 7%/㎏
母豚B:生食輸液 7%/㎏
母豚C:Cont群
これら3頭の母豚に耳静脈からカテーテルを挿入し、分娩を開始してから毎時血液を採材した(計5回)。
観察項目
・血中グルコース濃度
・血漿中タンパク濃度
・子豚の出生数
・母豚の行動(分娩時)
3.結果
母豚Aは分娩に異常はなく、母豚BおよびCに比べて分娩時間は短く(表1)、食欲もよかった。さらに、母豚Aは血中グルコース濃度が一定で(表2)かつ血漿タンパク濃度は高かった。


4.考察
5.一言
分娩時に母豚に対して輸液療法を実施すると分娩時間短縮、出生数増加および食欲促進効果がある結果となった。各1頭ずつではあるが、参考になる結果である。
Siriporn T.,Panida C. and Kampon K.
The 6th Asian Pig Veterinary Society Congress Ho Chi Minh City Vietnam September 23-25.2013