無意識のうちに流出しているプラスチック?

日々の暮らしから出るゴミや排水などは、正しく処理されない場合、海洋汚染の原因となっています。2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の中に、「海の豊かさを守ろう」という世界共通の目標があるように、行動を起こさなければいけない問題の一つとなっています。

近年のゴミ問題の中でも、マイクロプラスチックによる海洋汚染の問題は注目されています。マイクロプラスチックと聞いて、元となるプラスチックは、ポイ捨てされたゴミが原因と考える方が多いかもしれません。しかし普段の生活の中で、ゴミの廃棄とは関係なく、無意識のうちにマイクロプラスチックを増やす行動をしているかもしれません。

ある団体が、全国120地点の河川や湖や港などから、流出したと考えられるプラスチックの実態調査を行いました。その結果、家庭の玄関マットやゴルフ練習場などで使用されている人口芝由来の物質が最も多かったことが報告されました。
人口芝が破れて細かくなり、雨に流されて水路に流れた結果、プラスチックの流出に繋がっていると考えられます。

また日本ならではの原因とされているのが、水稲を育てるときに使用される肥料由来のプラスチックとされています。
肥料とプラスチックの二つは関係が無いように感じるかもしれませんが、水稲に用いられる肥料は表面を薄いプラスチックでコーティングされているものが多く使用されています。コーティングすることで肥料がゆっくりと溶けだすため、肥料をまく回数を大幅に減らすことができるメリットがあります。このプラスチックは、長時間紫外線に当たると分解するとされていますが、分解しきれなかったプラスチックは、排水に含まれた状態で流されていき、下流の海へと向かっていきます。現在ではプラスチックの代替となる物質でコーティングをする方法の開発や、生分解性のプラスチックを使用する方法が一部で行われていますが、大きな転換には未だ至っていない状況です。

上記以外にも身の回りではプラスチックが多く使用されていますが、プラスチックは全て無くしたほうが良いものでしょうか?廃棄処理を怠った場合、環境に負荷がかかる点が目立ちますが、プラスチックならではの良い点にも目を向けることも大切です。例えば家電や衣類など、プラスチックだからこそ長く使える製品が、身の回りに多く存在することが分かります。
物を長く使い続けることは、環境に配慮した行動の一つで、ゴミの削減や資源の節約につながります。
身の回りのプラスチック製品を知ることで、必要なプラスチックなのか、減らせるまたは代替できるプラスチックなのか、意識した視点を持って生活することが大切なのかもしれません。

弊社の「マイクロプラスチック検査」(簡易顕微鏡観察)は、顕微鏡観察により飲料水や食塩などにマイクロプラスチックが含まれているかどうか、マイクロプラスチックの大きさ、形状、数量を簡易的に判断できる検査です。

第二食品検査室


『マイクロプラスチック検査』(簡易顕微鏡観察)については、こちらをご確認ください。

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