食品の異物混入とその対応

年間を通じての依頼件数が決して少なくない検査の一つに、混入異物の鑑定というのがあります。一般的に業界で言う「異物」とは、生産、貯蔵、流通の過程での不都合な環境や取り扱いによって、食品中に侵入したあらゆる外来物を言います。
ただし、外来物以外でも製造や保存過程において、内部に発生した固形物なども「異物」としての取り扱いを受けます。つまりは正常な製品と比較して異なるものが混入しているように判断された場合に「食品の異物混入」となります。

具体的に「異物」となりうるものには、どのようなものがあるのでしょうか。特に件数として多いのは、髪の毛や昆虫などですが、その他にも動物・鳥類の体毛、動物由来の排泄物、種子、植物の断片(木片、わらくず、もみがら等)、繊維など、小石・土砂、ガラス・陶磁器・セメント・金属・プラスチック・ゴムなども異物混入の事例として発生しています。

実際に異物混入があった場合(クレーム、社内発見に関わらず)、製造者の対応としては、

  • (1) 『何であるかの確認』
  • (2) 『なぜ混入したかの原因調査』
  • (3) 『混入原因を排除するための対策の立案』
  • (4) 『対策の実施』

という手順になるかと思われます。弊社のような検査会社が携わるのは、(1)『何であるかの確認』という部分になりますが、その後の (2)、(3)、(4)の手順に頭を悩ませている製造業者の方は多いことかと思います。そして、クレーム先に何であったか、その原因と対策を報告、とその時点で終わってしまうことが多いのではないでしょうか。

時間が無い、人がいない、お金が無いなどが対策の実施が出来ない理由であると思われますが、何度も同じような異物混入が発生すれば、その分だけ信用低下に繋がり、悪循環に陥ってしまうことでしょう。
長期的な視点で考えれば、混入異物が発生した時に良いチャンスと捉え、その原因排除の対策を主軸として品質管理を考えるということが必要になるかと思われます。

現在の食品業界は「安全・安心・おいしい」ということが大前提であると考えられています。食品の安全に関して連日報道される昨今、一歩先を見据えた品質管理体制が益々重要となっていくでしょう。

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