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食環研コラム

ウェルシュ菌のリスク評価試験

1)目的

 ウェルシュ菌はヒトや動物の主要な大腸内常在菌であり、環境中や農産物、畜産物、水産物など食材にも広く分布し、これらの一部は食中毒を引き起こすエンテロトキシン産生株である。

ウェルシュ菌食中毒事件は、飲食店、旅館、学校など集団給食施設による大規模事例が多く、カレーやシチュスープなどを喫食する前日に加熱調理し、そのまま室温で放置されていた事例が多くみられる。そうした過去の事例を踏まえ、本試験を実施することで、カレーにウェルシュ菌を添加した後の菌数の経時変化を明らかにする。また、本試験によりウェルシュ菌食中毒について異なる保存条件でのリスク評価を行う。


2)試験菌 

 ⅰ)栄養型ウェルシュ菌

 ⅱ)芽胞を形成したウェルシュ菌


3)方法

 ⅰ)保存準備

   一般家庭での調理方法を想定し、1つの鍋で4人分のカレーを調理し、全部で3つの鍋を用意した。調理後、約1時間室温で放冷した。カレーの中心温度が45℃に達した後、1,000cfu/gの栄養型ウェルシュ菌の2種類をそれぞれ1gずつ投入し、以下3つの条件で保存試験を行った。

 ⅱ)保存採取条件

   試験区1. 4℃ 3,6,9,12,15,18,21,24時間ごとに採取

   試験区2. 30℃ 3時間保存後に採取、全体を撹拌しさらに1時間保存後、4℃に移動し、6,9,12,15,18,21,24時間ごとに採取

   試験区3. 30℃ 3,6,9,12,15,18,21,24時間ごとに採取

 ⅲ)検体の採取と試料の調整

   ウェルシュ菌は嫌気性菌でありカレー中心部に存在していると考えられているため、検査試料検体を採取する前にすべての試験区でカレー全体をかき混ぜ、数か所から25gをそれぞれ採取した。採取した検体25gに225mlの0.1%ペプトン加生理食塩水を加え、ストマッカーで乳剤にして検査試料液を調整した。

 ⅳ)試料の培養

    a) 直接分離培養

      調整した検査試料液をCW寒天培地に直接塗抹し、35℃で24時間嫌気培養した。

 ⅴ)菌数測定

   定型集落を計数し、ウェルシュ菌数とした。


4)結果

 試験区1、2、3共に検体保存後0時間から3時間までは穏やかにウェルシュ菌の増加が見られた。3時間から9時間までは試験区1、2共に菌数の低下が見られ、10^3cfu/gから10^4cfu/gの間に位置した。一方で、試験区3では10^4cfu/gから10^6cfu/gへの急激な増菌が見られた。9時間から24時間までは試験区1、2でわずかな増菌が見られたが、菌数は10^4cf/g程度であった。試験区3では、10^6cfu/gから10^7cfu/gへの菌数の推移が見られた。



ウェルシュ菌の経時変化.jpg

5)考察

 試験区1、2では0時間から24時間後までにウェルシュ菌数の大きな変化は見られず試験区3に比べて安定していた。一方で、試験区3では0時間から24時間後までに急激な増菌が見られ、最終的には10^7に到達した。今回のリスク評価試験の結果から、試験区1、2ではウェルシュ菌数は10^4cfu/g程度であり喫食した場合の食中毒リスクは低い。要因として、試験区1、2ではウェルシュ菌が増菌するのに適する温度帯に置かれた時間が短かったことが考えられる。試験区3ではウェルシュ菌の増菌に適する温度帯に置かれたため、他の試験区に比べ急激な増菌が見られたと考えられる。試験区3では、大量のウェルシュ菌が芽胞を形成し始めたときに、食中毒を引き起こすエンテロトキシンを産生する可能性が考えられる。そのため、試験区3のカレーを24時間保存後に喫食した場合に食中毒が引き起こされるリスクは他の試験区に比べてかなり高くなる。


 ウェルシュ菌はヒトや土壌中、食品中など自然界に分布しており、ウェルシュ菌の耐熱性芽胞は100℃で1~6時間の加熱に耐えると考えられている。そのため、通常の加熱方法では完全に死滅させることは不可能であり、ウェルシュ菌の増菌を防ぐ対策が必要になる。本試験では、加熱調理食品の保存温度帯によるウェルシュ菌の増菌数を示し、調理後の保存条件が食中毒リスクに多く区影響を与える可能性が明らかになった。ウェルシュ菌による食中毒を防ぐ一般的な対策としては「加熱殺菌」と「増殖阻止」の2点が挙げられる。前者は、温め直しなどの再加熱によって栄養型ウェルシュ菌を殺菌し、エンテロトキシンを不活性化する。後者は、調理する際には食べきれる分だけ調理するようにする、または調理後速やかに喫食し残った分は小分けし4℃以下の温度で保存する。本試験の結果としと総合して、以上2点を徹底することがウェルシュ菌による食中毒防止のための最も有効な手段であると考えられる。


参照URL:https://www.niid.go.jp/niid/ja/

 

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