新型コロナウイルスワクチンについて③ 新型コロナワクチンの接種後について

これまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発技術、承認されている、
または開発中のCOVID-19ワクチンを紹介しました。
日々ワクチンに関わる様々な情報がアップデートされていますが、
やはり自らの健康に関わるワクチン接種後の有害事象・副作用の情報は気になるところだと思います。

【有害事象・有害反応・副作用とは】
そもそも有害事象や副作用とはどういうものを指すのでしょうか。
これらはWHOの資料で、以下のように定義されています。

有害事象(Adverse Drug Event)
薬を投与することで起こる可能性があるが、
それとは因果関係があるとは限らない、
あらゆる好ましくない医療上の出来事。
有害反応(Adverse Drug Reaction)
予防・診断・治療・生理機能の調節で使用される通常の投与量で起こる、
薬物に対する有害で意図しないあらゆる反応。
副作用(Side Effect)
医薬品の薬理学的特性に関連し、
医薬品の通常の投与量で起こるあらゆる意図しない効果。
正の効果または負の効果がある。


参考:Management Sciences for Health and World Health Organization. 2007.
Drug and TherapeuticsCommittee Training Course.
Submitted to the U.S. Agency for International Development by the
Rational Pharmaceutical Management Plus Program. Arlington, VA: Management Sciences for
Health. (一部抜粋・翻訳)

ワクチン接種後に起きた望ましくない出来事が副作用かどうかは
専門家でなければ判断が難しいことが多いため、
些細なことでも医者・薬剤師に報告することが大切です。


【有害事象について】
因果関係が疑われている副作用も含め、
各国で接種に使用されている一部のワクチンについて報告されている有害事象をまとめました。

局所性(接種部位)

接種部位の反応ファイザーモデルナアストラゼネカジョンソン&ジョンソン
痛み有り有り有り
発赤とても少ないとても少ないとても少ないとても少ない
腫脹とても少ないとても少ないとても少ないとても少ない
硬結有りとても少ない
圧痛有り有り
掻痒とても少ない
熱感少ない


全身性

全身の反応ファイザーモデルナアストラゼネカジョンソン&ジョンソン
疲労有り有り有り有り
頭痛有り有り有り有り
発熱有りとても少ない有り有り
寒気有り有り有り
リンパ節腫脹有りとても少ない
筋肉痛少ない有り有り有り
関節痛少ない有り有り
悪心・嘔吐とても少ない少ない有り有り
下痢とても少ない
倦怠感有り


※4社とも軽~中程度の有害事象は発症から1週間以内に消失したと報告している。
※4社とも有害事象は若年成人より高齢者で軽度と報告している。


報告されているGrade 3*以上の有害事象

*重症または医学的に重大であるが, ただちに生命を脅かすものではない/入院または入院期間の延長を要する
/身の回りの日常生活動作の制限がある

ファイザーモデルナアストラゼネカジョンソン&ジョンソン
疲労痛み寒気発熱
頭痛疲労疲労倦怠感
ショックリンパ節腫脹熱感高血圧
アナフィラキシーアナフィラキシー頭痛アナフィラキシー
倦怠感
血小板減少を伴う血栓症血小板減少を伴う血栓症


参考文献:Polack, F. P., et.al. (2020). Safety and Efficacy of the BNTb2 mRNA Covid-19 Vaccine.
New England Journal of Medicine, 383(27), 2603-2615.
Baden, L. R., et.al. (2020). Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine.
New England Journal of Medicine, 384(5), 403-416.
Ramasamy, M. N., et. al. (2020).
Safety and immunogenicity of ChAdOx1 nCoV-19 vaccine administered in a prime-boost regimen in young and old adults (COV002): a single-blind,
randomised, controlled, phase 2/3 trial. The Lancet, 396(10267), 1979-1993.
Sadoff, J., et. al. (2021). Interim Results of a Phase 1-2a Trial of Ad26.COV2.S Covid-19 Vaccine.
New England Journal of Medicine, 384(19),1824-1835.

全体的には、接種部位の痛みなど一般使用されている他のワクチンでも見られる有害事象の報告が多いようです。
また、今回話題になった血栓症の問題についてはいろいろな意見があります。
アストラゼネカ社、またジョンソン&ジョンソン社製ワクチンについては、
ヨーロッパ当局の発表(2021年4月)によるとワクチンの恩恵がリスクを上回ることを確認したこと、
明確なリスク因子は特定しないがまれに起こる副反応として血栓症を添付文書に載せることを要請した、とあります。

参考:https://www.ema.europa.eu/en/news/astrazenecas-covid-19-vaccine-ema-finds-possible-link-very-rare-cases-unusual-blood-clots-low-blood
https://www.ema.europa.eu/en/news/covid-19-vaccine-janssen-ema-finds-possible-link-very-rare-cases-unusual-blood-clots-low-blood

【日本国内での報告】
日本国内の状況としては、厚生労働省の発表資料によると、2021年2月17日から2021年5月2日現在までの医療機関からの副作用疑い報告は累計5,561件となっているようです。
累積接種件数からみた報告頻度は0.153%と発表されています。項目としてはこれまで各社から報告されているような発熱・倦怠感・頭痛等が多いようです。
ワクチン接種後のアナフィラキシー反応について、これまで数百件の報告が確認されています。
報告頻度については増加傾向にはなく、接種後に一定頻度で起こる事象として現在行われている対策を継続する、
と厚生労働省は発信しています。

現在、日本ではファイザー社製ワクチンを使用した接種が実施されており、
5月20日付でアストラゼネカ社製ワクチンとモデルナ社製ワクチンが承認されたため
これからの接種に使用される予定です。
さらに、本年5月24日からは自衛隊大規模接種センターが設置され、
より多くの人に効率的にワクチン接種ができるようになる予定です。
防衛省・自衛隊HPはこちら → (防衛省・自衛隊HP「新型コロナウイルスの拡散防止に努めた取組)。

今後様々な会社が開発しているワクチンが承認され、接種に使用されることが予想されますが、
そうするとどのワクチンを打つか、複数の選択肢から自分で選ぶことになるかもしれません。

選ぶためにはどういう点を確認すればいいのか、選択肢がない場合でもどういったものを接種するのかを知っておくことは、
特に日々新しい情報が得られる今日ではとても大切です。

このコラムが少しでも参考になれば幸いです。

拭き取り検査はこちら → 【新型コロナウイルスPCR検査(ふき取り)】


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