ウイルスなのに役に立つ!MS2ファージと暮らしの意外なつながり

新型コロナウイルスの流行を機に「抗菌」「除菌」等の言葉を目にする機会が増えました。
手の消毒のほか、人の手に触れる部分を清潔に保ったりと、私たちは日々「目に見えない菌やウイルス」から身を守るために様々な工夫をしています。
しかし、ウイルスの中には人の役に立つウイルスも存在します。その1つがMS2ファージです。
人や動物には感染しないため、安全に試験が実施でき、様々な試験で使用されます。
 

MS2ファージとは?

MS2ファージは“細菌に感染するウイルス(ファージ)”の一種で、正式には「バクテリオファージMS2」と呼ばれます。MS2ファージはRNAウイルスに分類されるウイルスで、特定の大腸菌に感染します。大腸菌に感染すると大腸菌内に遺伝子(RNA)を注入し、大腸菌内で自らに必要な構成成分を複製、複製された成分と注入された遺伝子(RNA)が組み合わさることで新たなファージが誕生します。誕生した新たなファージは大腸菌を溶かして外に出てきます。
 
バクテリオファージにも種類がある?
出典:バクテリオファージにも種類がある? | バクテリオファージ.jp
 

MS2ファージの活用

MS2ファージは安全かつ実際のウイルスに近い条件で試験の実施が可能なため、様々な試験で“代替ウイルス”として使用されています。
よく使用される試験として【抗ウイルス性試験】があげられます。
抗ウイルス加工された製品の表面にMS2ファージを付着させ、ウイルスを回収、プラーク数を測定することで、製品の抗ウイルス効果を確認します。
 
エンベロープを持たず、大きさや構造が似ていることから、特にノロウイルスの代替えウイルスとしてよく活躍します。
 

MS2ファージノロウイルス
構造正二十面体 / エンベローブなし正二十面体 / エンベローブなし
大きさ約26~27nm約25~35nm
遺伝子(+)一本鎖RNA(+)一本鎖RNA
人への感染感染なし(大腸菌にのみ感染)感染あり(感染性胃腸炎の原因)
環境耐性高い高い

 
日常生活で“MS2ファージ”という名前を耳にする機会は少ないですが、日常の裏側で密に活躍するウイルスです。
 
MS2ファージ指定の試験も、代替えウイルスとして検討中の試験も、お気軽にお問い合わせください。
求める効果やご予算に応じて最適な試験内容をご提案いたします。
 
ウイルス不活化に関するお問い合わせ
殺菌・ウイルス不活化試験 依頼窓口
 
>>ライノウイルスとは?症状や感染経路など解説!|食環研コラム
 
参考ページ:
>>バクテリオファージ.jp バクテリオファージにも種類がある?
 
 

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