HACCP 手順6 (原則1) 危害要因の分析
今回は、『HACCP 手順6 (原則1) 危害要因の分析』について、説明いたします。
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>>【食品コンサルティング】
本要求事項は、各工程における潜在的な危害要因を列挙し、その中から重要な危害要因を特定し、それを管理するためのあらゆる手段を考えなければならない。危害要因には、必要に応じて、アレルゲンを含めなければならない。となっております。
JFS-B規格において、各工程で潜在的な危害要因を列挙し、その中から重要な危害要因を特定し、適切に管理する手段を定めることは、食品安全を確保するうえで最も重要な要求事項の一つとされています。
危害要因は大きく「微生物的危害」「化学的危害」「物理的危害」に分類されます。
例えば、微生物的危害にはサルモネラやリステリアなどの食中毒菌、化学的危害には残留農薬や洗浄剤の残留、食品添加物の過剰使用などが挙げられます。アレルゲンは、微量でも消費者の健康被害を引き起こす可能性があるため、工程管理や表示管理において特に重要な要素となります。物理的危害では、金属片やガラス片、プラスチック片などの異物混入が想定されます。そして危害要因を列挙した後は、それぞれの発生可能性と重篤性を評価し、重要な危害要因を特定します。
特定された重要な危害要因については、CCP(重要管理点)として管理基準を明確に設定する必要があります。例えば、加熱工程であれば「中心温度75℃以上で1分以上加熱」といった科学的根拠に基づいた基準を設け、それをモニタリングし、記録に残すことが求められます。
また、JFS-B規格では、CCPによる管理だけでなく、前提としてのGMP(適正製造規範)の整備も必須です。GMPは施設設備の衛生管理、作業手順の標準化、従業員の衛生教育など、基本的な管理の枠組みを提供するものであり、危害要因を未然に防止する基盤となります。
GMPが徹底されていなければ、CCPの管理が形骸化し、システム全体の信頼性が損なわれるため、両者をバランスよく運用することが重要です。
さらに、これらの取り組みは「文書化」と「記録」によって裏付けられます。文書化により管理の仕組みを明確にし、記録によりその実施を証明することで、監査や取引先への説明責任を果たすことが可能となります。
そして定期的な見直しと改善活動を通じて、食品安全マネジメントシステムの継続的な有効性を確保していくことが求められます。
このように、JFS-B規格に基づく危害要因の分析と管理は、CCPとGMPを適切に組み合わせることで成り立ち、消費者の安全と企業の信頼性を守る中核的な役割を担っています。
次回はHACCP 手順7 (原則2) 重要管理点の設定になります。
JFS規格の概要はこちら → 『JFS-A/B規格コンサルティング・適合証明』