週末をまたぐ腸炎ビブリオ検査とVBNCの落とし穴
腸炎ビブリオの検査では、検体をアルカリペプトン水(APW)などで増菌し、その後TCBS寒天培地に画線塗抹します。このとき、金曜日に増菌を開始し、月曜日に分離培養するというスケジュールを組むことがあります。しかし、この方法には見逃せないリスクがあります。それが、菌のVBNC(Viable but Non-Culturable)状態です。
VBNCとは?
VBNCとは、菌が生きているものの培地上でコロニーを形成できなくなる状態です。ストレスや環境変化によって起こり、腸炎ビブリオを含む多くの細菌で確認されています。
長時間の増菌で何が起きるのか
APWでの増菌は通常16〜18時間程度が推奨されていますが、金曜から月曜まで放置すると、増菌培養が3日以上続くことになります。この間、
- 栄養枯渇
- 酸素量やpHの変化
- 自己代謝産物によるストレス
などにより、菌は急激に増殖できなくなり、VBNC状態に移行する危険性があります。その結果、月曜日に分離培養しても、菌がコロニーを形成せず検出感度が大きく低下する可能性があります。
冷蔵保存は安全か?
「増菌後に冷蔵庫で保存すればいい」と考える方もいるかもしれません。しかし、増菌後に低温にさらすことは、腸炎ビブリオにとって大きなストレスとなり、むしろVBNC化を促進する可能性もあります。冷蔵保存中に菌は死滅またはVBNC化し、やはり検出感度は低下します。
どうすべきか?
- 週末をまたがないスケジュールにする。(木曜までに増菌→分離)
- 週末対応のために検査スタッフを確保する。
- 増菌後はできるだけ早く画線塗抹する。
- 必要ならPCRを併用する
週末をまたぐ検査は、検出精度を大きく損なう可能性があることを理解し、計画的に実施することが重要です。
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検査項目 | 腸炎ビブリオ |
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分析方法 | アルカリペプトン水 TCBS寒天培地 |
分析期間 | 3-6 営業日 |
検体必要量 | 25g以上 |
料金(税込) | 2,750 円 |
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