PFAS基準値についての国際動向

PFASについての海外での基準値の動向について解説をします。

PFASに対する基準値の動向は現状各国で異なっており次の通りとなっています。

 

 

米国環境保護庁(USEPA)の対応

  • 2021年10月に2021年から2024年のPFAS戦略ロードマップを提示し、研究開発、流入規制、汚染浄化の3つを目的として、具体的な政策について年限も含めて発表をしています。
    2022年9月に世界保健機関(WHO)がTotalPFASの飲料水水質のガイドライン値案を公表しREACHにおいて、2023年2月には欧州化学品庁(ECHA)は約10,000物質が対象となるPFASの規制提案を受領するなど、個別物質管理だけではなくPFASをグループで管理を行う動向があります。なお、飲料水基準の対象物質として、活性炭カラムなどで捕集可能な有機フッ素全般を対象としているのは欧州委員会の「全PFAS」のみであり、その他は「総PFAS」や「PFAS合計」などと称していても、測定可能である数物質を対象にしています。

 

WHO

  • 2022年9月に「飲料水中のPFOS及びPFOA」のパブリックレビュー版が公表され、PFOS及びPFOAを含めたおよそ30種類のPFAS関連物質が、現在の利用可能な方法で測定でき、集団としてPFASを管理することは、これらのばく露を減らす有効な手段であるとの方針から、「総PFAS」として500ng/Lを提案しています。

 

EC

2020年10 月、ECは「持続可能性に向けた化学品戦略 [Chemical Strategy for Sustainability]」を公表し、その具体的な対策の1つとして、PFAS に対し、グループアプローチを適用した規制を行う方針を示しています。12 月に改正された欧 州飲料水指令では、「全 PFAS [PFAS total]」と 「PFAS 合計 [sum of PFAS]」という 2 つの PFAS グループ基準値を示しています。さら に、2022 年 10 月に改定案を公表し、環境品質基準値(EQS)として、欧州食品安全 機関(EFSA)の設定した耐容週間摂取量(TWI)に基づき、相対効力係数(RPF)を 用いた相対毒性アプローチにより、PFOS、PFOA を含む 24 の PFAS の合計値で、表 流水の年間平均濃度:PFOA 等量 4.4ng/L、生物体の含有量:PFOA 等量 77ng/kg wet weight を提案してます。

 

 

目標値の設定状況

現状での目標値の設定状況については下表の通りとなっております。

国名等対象物質目標値等測定方法
世界保健機関(WHO)総PFAS500ng/LISO21675USEPAmethod533/537.1
米国(USEPA)GenX10ng/LUSEPAmethod533/537.1
PFBS2000ng/L
PFNA10ng/L
PFHxS9ng/
デンマークPFOA,PFOS,

PFNA,PFHxS

2ng/L
PFBS,PFHxS,

PFOS,PFOSA,

6:2FTS,PFBA,

PFPeA,PFHxA,

PFHpA,PFOA,

PFNA,PFDA

100ng/L
欧州全PFAS500ng/L【AOF】or【TOPAssay】開発中
PFAS合計100ng/Lドラフト版prEN17892
欧州食品安全機関(EFSA)PFOS,PFOA,PFNA,PFHxS
オーストラリア・ニュージーランド食品基準機構(FSANZ)PFOSPFHxS70ng/LUSEPAmethod537
ドイツPFAS合計
4PFAS(PFOS、PFOA、PFNA、PFHxS)
100ng/L
20ng/L
ドラフト版prEN17892
PFBA

PFHxA

PFNA

PFBS

PFHxS

PFPeA

PFHpA

PFDA

PFHpS

H4PFOS

PFOSA

10000ng/L
6000ng/L60ng/L

6000ng/L

100ng/L
3000ng/L
300ng/L

100ng/L

300ng/L

100ng/L

100ng/L

DIN38407-42(F42)
カナダ総PFAS30ng/LUSEPAmethod533/537.1

 

総括

各国での目標値の設定は現状事なっておりますが、測定可能なPFASを合計として評価していく流れが見られています。

現状では国内での目標基準値に対する成分での調査を進め、海外で基準値が設定されている成分についても注目していく必要があると考えられます。

 

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